『リング』は、今や知らない人のいない幽霊「貞子」が初めて銀幕に降り立ったホラー映画です。

その呪いのビデオを観た者は一週間後に死ぬという都市伝説の真相を、浅川玲子は追うのですが…

また、呪いのビデオに写り込む人物や、その呪いの正体を突き止めることで、自分や子供にかかってしまった呪いを解こうとするのですが…

日本のホラーブームのプロットの形を作ったと言っても過言ではない平成の名作『リング』を、どこよりも詳しく紹介します。

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サブタイトル1:映画『リング』の作品情報

【公開日】
1981年1月31日

【上映時間】
95分

【監督】
中田秀夫

【脚本】
高橋洋

【出演者】
浅川玲子:松嶋菜々子
高山竜司:真田広之
高野舞:中谷美紀
大石智子:竹内結子
大石良美:しみず霧子
山村貞子:伊野尾理枝
山村志津子:雅子
浅川陽一:大高力也

映画『リング』のネタバレあらすじやラスト結末

観た者は一週間後に死ぬという話が、伊豆の宿泊地を中心に流行っていました。

浅川玲子は、姪の葬式に参列している中、友人らしき二人組から、伊豆に行った4人組が同時に死んだという話を聞きます。

どうやら死んだ姪も含めて全員が、呪いのビデオを観ていたらしいのです。

玲子は伊豆へと向かう

玲子は4人の変死を突き止めようと、彼らが宿泊していた別荘にて、管理人に話を伺います。

その別荘の棚には、ひときわ歪で嫌なオーラを放つVHSビデオがありました。

玲子はそれを見てしまいます。

そこには髪を櫛でとく女性や、「貞」の文字、そして、恐ろしい瘴気を感じさせられる井戸の映像が映っていました。

そのビデオを観てしまった玲子の元に、一本の電話が鳴るのです。

玲子は、離婚した元夫の高山竜司に相談します。

玲子はビデオをダビングし、いまいち信用していない竜司に見せます。

竜司はビデオの謎を追う

ビデオから聞こえる奇妙な声は、伊豆の方言で噴火を予知していたものでした。

その事実から、竜司はかつて噴火を予言した「山村志津子」という超能力者の存在に気付きます。

彼女は伊豆で自殺を図っていたらしく、一週間のタイムリミットが迫る中、竜司は呪いを解く手段を探すべく、調査を進めます。

そんな中、玲子の息子、陽一がビデオを観てしまいました。

息子にかかってしまった呪いを解くためにも、玲子と竜司はともに、再び伊豆へと向かいます。

山村志津子の自殺の理由とは

超能力者である山村志津子は、火山の噴火を予知したことにより、マスコミからひどくバッシングされていました。

それで気が触れて自殺したのですが、唯一の手掛かりである志津子の叔父に話を伺います。

山村志津子の娘、山村貞子かさらに強力な超能力を持っていました。

自分たちをイカサマだと言いがかりするテレビの連中をその場で呪い殺したりと、邪悪な力を貞子は持っていたのです。

念じるだけで殺せる貞子の怨念がビデオに乗り移っていたのだと、二人は突き止めます。

二人は井戸の中にあるはずの、貞子の遺体を探します。

バケツに水を汲んでは上げ、井戸の水をなんとか減らしていきます。

そしてようやく、長い髪の骸骨を見つけるのでした。

玲子のタイムリミットには間に合い、二人は助かったのでした。

竜司がビデオを観た一週間後

竜司のテレビに、あの井戸が写ります。

井戸から手を伸ばし、現れたのは、白い着物を見に纏った、髪の長い女性でした。

あまりにも長い髪で、その顔は見えませんが、一歩一歩、ゆっくりと近づいてきます。

竜司の呪いは解けてはいなかったのです。

電話は鳴り、テレビの液晶から、爪のはがれた女性が現実の竜司の前に姿を見せるのでした。

彼女はなんとも怨めしい表情で竜司を睨み、竜司は死んでしまう。

玲子だけが生きている理由

玲子は唯一の生き残りとして、呪いを解く方法を考えます。

そうしなければ、息子の陽一にも貞子の呪いが訪れてしまいます。

玲子がして竜司がしなかったこと、それは「ダビング」でした。

玲子はビデオをダビングし、竜司に見せていたのでした。

つまりは、呪いの拡散です。

玲子は陽一のためと、車で自らの父の家に向かうのでした。

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映画『リング』を見た感想と考察

『リング』は、山村貞子という生前にも恐ろしい超能力を持っていた女性が、ビデオによって呪いの拡散していく幽霊自体の恐怖と、呪いに迫っていくミステリー的要素を取り入れた邦画ホラーの金字塔と言える映画です。

ちょっと愛らしいキャラクターである今の「貞子」との圧倒的な違い

始球式を投げたりグッズ化されたりと、大人気のホラーキャラクター貞子ですが、ホラー映画のアイコン的役割になる前は、子供でなく大人までもが泣いてしまうほどの恐ろしさでした。

そんな魅力が本作品にはたっぷりと詰まっています。

テレビから出てくるなんて分かりきっているし、何度も見たからもう怖くないと思っていても、初代の『リング』だけはやはり格別の怖さです。

では、なぜそんな恐ろしさがこの『リング』からは出ているのか、その理由とはズバリ、「緊張感を作り上げるための長い前振り」です。

『リング』では、『呪怨』や海外のホラー映画と違って、「怖いと感じるシーン自体を抑える代わりに、怖いことになるかもと感じるシーン」が多いわけですね。

山村貞子の呪いがかかったビデオの映像や、その調査をしているシーンなんかも、ほんのり仄暗く、また、竹内結子演じる大石智子が貞子によって最初の犠牲者になるシーンでは、貞子はその姿を見せず、登場を焦らしているのです。

さらに、ずっと張り詰めた緊張感を助走に、一度「弛緩」を加えることで、貞子の登場シーンがより怖く感じるのです。

一度呪いが解けたかのように思えた時点で、視聴者は安堵してしまい、安堵から一気に恐怖に変わることで、恐ろしさは増大しているのです。

こういった「緊張と弛緩」は『海外版リング』と見比べてみると、如実に分かります。

海外版では、冒頭からガンガン貞子登場し、確かに驚きはするのですが、物語の終盤当たりでは正直慣れてしまいます。

辛い物を食べた後の方が、甘いものを食べたときに感じる甘味が大きいのと、同じ現象ですね。

ジェットコースターで想像してみると、落ちる落ちると想いながら徐々に頂点に近づくのですが「もう落ちませんので大丈夫です」と言われて安心したすぐ後に落ちると、きっと恐ろしさは倍増することでしょう。

そういった仕組みをこの『リング』では取り入れているのです。

90年代末の、得体の知れない不安がホラー映画ブームを起こした

「失われた10年」とも揶揄される1990年代、日本中は、将来への不安に包まれていました。

バブルは弾け、オウム真理教による地下鉄サリン事件が起こり、ネットの発展とともに、2000年になると人類は滅びるなんて話が世界中に広がり、将来や宗教、見えない物への不安が増幅していた時代なのです。

そんな時代だからこそ、見えない物の代表である幽霊が出るホラー映画のパンチ力は増していたのです。

誰もがありえないと思いながらも、実際に起こってしまうのではないかという恐怖を植え付けられたに違いありません。

ホラー映画を怖く感じる人が最も多かった時代だからこそ、ホラーブームは起こったと言えるでしょう。

VHSやブラウン管が放つオーラ

現代も新作が続く『リング』シリーズですが、最新作ではなんと、ユーチューブが貞子の舞台になっており、ユーチューバーが呪いを広げるといった話になっております。

しかし、やはり思ってしまうのが「VHSとあのでかいテレビじゃないと怖くないなぁ」と感じずにはいられません。

テレビなんて、どんな仕組みで別の世界を映しているのか、ビデオが保存しているのか、一般人には知る由もありませんから、「この中に誰かいたらどうしよう」という気持ちも、『リング』の怖さに拍車をかけていたのです。

DVDやブルーレイ、スマホや液晶テレビから貞子が出ても、なんだか怖くないんですよね。

また、貞子の呪いを広げるという目的としての役割を担うVHSビデオなんですが、あれをダビングすることで、呪いは世界中に広がっていくわけです。

貞子は自分の怨めしい気持ちに共有してほしいがために、あんな方法を取ったのではないでしょうか。

貞子にとっての生殖や、気持ちの共有が、呪いのビデオになったのではないかと、私は考えています。

SNS上で、共感を欲しがる人達となんら変わらない、普遍的な人間の欲望が反映された貞子は間違いなく「化け物」ではなく、「人間」なのだと、思い知らされます。

映画『リング』を見た評価とまとめ


『リング』シリーズ第一作であるとともに、シリーズ最高傑作として名高い本作品。

私の個人的なものなのですが、平成で最も面白かった映画はと聞かれると、本作品を上げたくなるほどの素晴らしい作品です。

それはやはり、仲村義弘監督の『ほんとにあった!呪いのビデオ』や『残穢』他、多くのホラー映画に影響を与える完成度や、まつ毛全てを抜いて撮影した貞子の目のアップのシーンなど、あまりに恐ろしくこの作品を超えるホラー映画はないとすら感じさせられるからです。

家で刺激のある作品を観たくなった方は、是非、VHSのビデオを借りて、本作品を観てはいかがでしょうか。

そのために買った中古のビデオ再生機に謎のビデオが入っていたとしても、決して見てはいけませんよ。

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