『シャイニング』は、『イット』や『スタンド・バイ・ミー』で有名なスティーブンキングによる同名小説を、スタンリー・キューブリックが監督を務めたホラー映画です。
小説家志望のジャック・トランスは、執筆に集中するべく、家族を連れて閉鎖されたホテルの管理人をするのですが、そこでは奇妙な出来事が次々と…
また、息子のダニーは「シャイニング」という不思議な力で、このホテルの歪な姿を目の当たりにするが…
2019年には続編として『ドクタースリープ』が公開されたこともあり、話題になった「歴代最恐ホラー映画」を、どこよりも詳しく紹介します。
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目次
映画『シャイニング』の作品情報
【公開日】
1980年12月13日(日本)
【上映時間】
119分(国際版)
【監督】
スタンリー・キューブリック
【脚本】
スタンリー・キューブリック
ダイアン・ジョンソン
【出演者】
ジャック・トランス:ジャック・ニコルソン
ウェンディ・トランス:シェリー・デュヴァル
ダニー・トランス:ダニー・ロイド
ディック・ハロラン:スキャットマン・クローザース
スチュアート・アルマン:バリー・ネルソン
デルバート・グレイディ:フィリップ・ストーン
ロイド - ジョー・ターケル:バーテンダー
浴室の若い女;リア・ベルダム
浴室の老女;ビリー・ギブソン
グレイディの娘;リサ・バーンズ、ルイーズ・バーンズ
『シャイニング』のネタバレあらすじやラスト結末
ジャック・トランスは、小説家志望であるとともに、アルコール依存でした。
ジャックは、かつてホテルの管理人が斧で家族を殺したというホテルに、息子と妻の3人で住むこととなります。
長い山道を車で走りぬけ、家族はようやくホテルにたどり着きます。
ジャックはイラついていた
今夜は雪になると、妻のウェンディはジャックに言います。
しかし、そんな意味のない会話で執筆を妨げるなと、ジャックは怒ります。
心配するウェンディに、余計なことで執筆の邪魔をされたくないジャックは、更に腹を立てるのでした。
そんな中、ダニーは小さい自転車で広いホテルをうろついていました。
迷路のような道の先には、全くの左右対称の空間に、手をつなぎ合う双子の姿がありました。
ダニーは彼女たちに、遊びに誘われます。
しかし、ダニーは彼女たちが残虐に殺されるイメージを目にします。
その光景の恐ろしさを「トニー」という妄想の友達に相談し、なだめられました。
そして、一人で遊んでいたダニーは、ルーム237に入って行くのでした。
このホテルには、本来いないはずの家族3人以外の人がいる
ジャックはアルコールを求めてバーにいました。
そこには、ジャックが「ロイド」と呼ぶバーテンダーの姿がありました。
妻によるダニーへの虐待の疑惑を、出された酒を片手に否定します。
妻が現れると、ロイドと酒は消えます。
そして、ダニーはホテルにいたルーム237の女に怪我をさせられてしまいました。
ジャックはそこで、裸の若い女を見るのですが、その女性は近づくと年老いた老婆へと変わってしまったのでした。
ウェンディはホテルからの脱出を提案しますが、邪魔ばかりするウェンディにジャックの怒りは頂点に達します。
ジャックは、他の人たちが屯するパーティにて、「かつて妻と娘二人をしつけた」と名乗る男性に、同じことをするよう、忠告されるのでした。
狂ったジャックがウェンディを襲う
ジャックが執筆していた小説には「仕事ばかりで遊ばないジャックは今に気が狂う。」という文字が、何枚もの原稿用紙にびっしりと敷き詰められていました。
恐怖するウェンディの前に、ジャックが姿を見せます。
ウェンディが逃げた先の部屋で、ダニーは「REDRUM」の文字を壁に書いていました。
ウェンディが鏡越しに見たその字は「MURDER」、つまり「殺人」を意味していたのでした。
家族を「しつけ」ようと、ジャックは斧を持つ
ウェンディが窓からダニーを逃がすと、ジャックは斧でドアに穴を開け、狂気に満ちた表情で「お客様だよ」と、顔を覗かせます。
ジャックが出した手を、ウェンディはナイフで攻撃し、なんとか部屋から逃げ出すのですが、別の部屋ではまた、知らない顔の人物がいたのでした。
ジャックは料理長である黒人男性のハロランを殺害します。
迷路になった森にダニーは逃げ込み、ジャックは斧を携え、息子の後を追います。
ダニーはなんとか、上手く逃げるのですが、ジャックはそこから抜け出すことができないまま、凍死してしまうのでした。
そしてホテルの中、舞踏会の写真には、ジャックに瓜二つの男が写り込んでいるのでした。
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映画『シャイニング』を見た感想と考察
『シャイニング』は、幽霊ホテルに宿泊することになった家族が、幽霊の影響により徐々に気が狂っていくジャックから逃げるといった、ホラー映画です。
完璧な作り込みのホラー映
画
本作品では、様々なシーンでキューブリックの恐ろしいカメラワークが光っています。
双子のシーンの左右対称性や、タイピングマシーンから出ていた「仕事ばかりで遊ばないジャックは今に気が狂う」の、淡々としながらも鬼気迫る恐怖感、狂気のジャックの表情。
そしてそれに怯えるウェンディや、観客もあの映画に巻き込まれている感覚を、キューブリックの神様視点的カメラワークで味わうことができます。
開発されたばかりのステディカムを用いての撮影は、ダニーが廊下を走るシーンなどで活躍しています。
また、キューブリックは役者に罵声を浴びせたりと、精神的に追い詰めることで、緊張感のある完璧なシーンの撮影に成功したのです。
キューブリックの拘りと、原作との違い
原作者のスティーブンキングは、本作品を厳しく批判したことで有名です。
アルコール依存の側面や、映画番では弱まっていたダニーの特異性等、原作からは様々改変が見られており、キング自身は映画版を激しく嫌っているのです。
ホテルの幽霊たちがジャックの妄想であるかのように描いていることも、キューブリックはキングが設定した詳細を省いていることで、難解になっています。
キューブリックはキングに対して「幽霊の存在を信じるか」と問うたことがあります。
キングは「当然だ」と答えるのですが、キューブリックはそれを鼻で笑ったそうです。
キューブリックはキングと違い、超常現象を信じていないため、「ジャック自体の狂気」のようにも見えるストーリーにしたのではないでしょうか。
ジャックの正体とは
本作品でジャックが気が狂った日付と、最後のシーンで写真として写り込んだ舞踏会の行われた日付の7月4日は、アメリカの独立記念日です。
幽霊の目的は、独立記念日を祝う楽しいパーティを行うために、邪魔者を排除することです。
本作で殺害されたのは唯一、料理人のハロランだけなのですが、黒人である彼がパーティに入り込むことを幽霊たちは許せなかったと推測できます。
また、それを行ったジャックは「昔からずっと管理人だった」と言われています。
これは、輪廻転生を繰り返すジャックの前世の姿が最後の写真に写り込んでいたののではないかと、考えられます。
映画『シャイニング』を見た評価とまとめ
スタンリー・キューブリック作品の中でも、大いに商業的な成功を収めた『シャイニング』。
現代の映画のように分かりやすいヒントも少なく、しかし意図的に違和感を感じさせるようなシーンも多い、人によって様々な解釈のある映画です。
また、小難しいことを考えなくても、キューブリックの芸術的な恐ろしさを孕んだカメラワークや、ジャック・ニコルソンの憑依した演技に、ホラー映画として楽しむこともできます。
スティーブン・キングの原作ももちろん面白いのですが、キューブリック版の『シャイニング』は他のホラー映画とは、一線を画した偉大な作品であることに間違いありません。
スリルを味わいたい方は、ぜひホラー映画の金字塔ある、本作品を楽しんでみてはいかがでしょうか?
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