「恋は雨上がりのように」はある日を境に夢を諦めてしまった女子高生を小松菜奈が、冴えないファミレス店長を大泉洋が演じ、親子ほどの年の差がある店長に恋をした女子高生の成長と淡い恋愛を描いた作品です。

原作は眉月じゅんの同名漫画。

青春映画の爽快感も持ちつつ、恋愛映画としての描写も巧みな今作。

店長への一途な思いにひた走る小松菜奈の心を揺さぶる演技とこれまで様々な役を演じてきた大泉洋がパッとしない中年男性を自然体で演じる多彩な姿に注目です。

映画「恋は雨上がりのように」のあらすじや感想をどこよりも詳しく紹介します。

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映画「恋は雨上がりのように」の作品情報

【公開日】

2018年5月25日

【上映時間】

111分

【監督】

永井聡

【脚本】

坂口理子

【原作】

眉月じゅん

【出演者】

橘あきら:小松菜奈
近藤正己:大泉洋
加瀬亮介:磯村勇斗
喜屋武はるか:清野菜名
倉田みずき:山本舞香
九条ちひろ:戸次重幸

「恋は雨上がりのように」のネタバレとあらすじやラストの結末

高校2年生の橘あきらは、ファミレス『ガーデン』でアルバイトをしている。

以前は陸上部のエースとして活躍していたが、アキレス腱を切ってしまい、リハビリを終えた後も部活には顔を出さず、アルバイトをしていた。

しかし、お世辞にも愛想が良いとは言えないあきらが、何故ファミレスでアルバイトをしているのか、同僚たちはその事を知らなかった。

一方、店内では店長の近藤が客に頭を下げていた。

しおらしく頭を下げる近藤の姿を、店員の久保が情けないと揶揄する。

近藤が頭を下げていた理由は、提供した石焼ビビンバの器が熱すぎると言うものだった。

近藤は、厨房に石焼ビビンバを戻すと、調理担当に「気をつけてよ」と一言告げ、頭を掻きながらバックヤードへ去って行った。

その姿を見た久保は「45歳バツイチ子持ちのパッとしない男なんて、一生店長止まりよ」とさらに近藤を揶揄した。

あきらが『ガーデン』でアルバイトをする理由

あきらが作業をしていると、厨房担当の加瀬がまかないのサンドイッチを差し出した。

皿を見ると、サンドイッチの横にはカットされたバナナとチョコレートソースで作られたハートマークが2つ。

一体どう言う事かとあきらが問うと、加瀬はサービスだと言う。

あきらはぶっきらぼうにお礼を述べると、そのままバックヤードへ向かった。

あきらがサンドイッチにかぶりついていると、近藤がバックヤードへ入ってきた。

若いんだからちゃんと食べないとダメだと近藤はあきらに声をかける。

そして、近藤は事務作業を始めようとPCの前に座る。

あきらは、近藤の後ろ姿をじっと見つめている。

近藤が大きなくしゃみをし、ティッシュで鼻をかみ、そのティッシュを捨てる所もじっと見つめている。

やがて視線に気付いた近藤が振り返るも、あきらはぼそりと何でもないと呟く。

あきらは、来月のシフト希望が書かれた紙を近藤に手渡す。

紙には『月・火・金・土 日曜も大丈夫です』と書かれている。

高校生とは思えないシフトの入れ方に、何か欲しいものでもあるのか?と紙を見ながら話す近藤の顔をあきらはじっと見つめている。

やがて視線に気付いた近藤は、何故そんなに睨むのかと困惑の表情を見せるが、あきらには睨んでいるつもりは毛頭なかった。

あきらは学校で、アルバイトの同僚の吉澤にメッセをやっているかと聞かれた事を思い出し、近藤に切り出すが、近藤はメッセの存在自体を知らなかった。

夜、外は大雨。

近藤が窓を開け、外を眺めているとあきらと吉澤が横を通り過ぎ、帰っていく。

外に出た吉澤とあきらは何かを話している。

タバコをふかしながら、2人を眺める近藤。

そこへ、近藤にコーヒーを届けに久保がやってくる。

近藤は2人を眺めながら、「輝いてるなぁ・・・10代から見たら俺なんてゴミ同然なんでしょうね」と呟く。

翌日、国語の授業中、あきらはこっそり教科書に自分と近藤の相合傘を描いていた。

しかしその時、担任教諭が落書きを指摘する。

急いで隠すあきら。

だが、指摘されたのは吉澤だった。

難を逃れたあきらは、担任が去ると、相合傘を見て少し微笑んだ。

陸上部の『元』エース

放課後、渡り廊下であきらが校庭を眺めていると、そこへ同じ陸上部で幼なじみのはるかと下級生がやってくる。

下級生は自分が大会の選手になった事、たまには部活に顔を出して欲しい事を伝えると、その場を去っていった。

はるかとも一言二言話すと、あきらはバイトへ向かった。

バイト中、同僚のユイが好きな人はいないのかとあきらに話しかける。

反対にユイに聞くと、しいて言うなら吉澤だと言う。

近藤はどうかとユイに聞くと、近藤は臭いから嫌だと言う。

しかし、その時丁度近藤がその場を横切ってしまう。

近藤はそのまま静かにバックヤードへと入っていった。

その日のまかないにはアイスクリームがついていた。

加瀬は、内緒だよと指を立てるが、あきらは最近体が重いからとアイスクリームを突き返した。

あきらがバックヤードに入ると、そこには臭いと言われて気にしたのか、近藤が脱いだシャツが置いてあった。

あきらは用心深く周囲を見ると、シャツの匂いを嗅ぐ。

しかし、人の気配を感じ振り返ると、そこには近藤がいた。

大笑いする近藤。

動揺したあきらは「私は臭いと思ってませんから!!!!」と叫ぶ。

そこへ久保が入ってくる。

どうやら、先程帰っていったお客さんの席に忘れ物があった様だ。

近藤たちは急いで外へ出るが、既にお客さんは自転車で店を離れていた。

どうせ追いつけないと店で預かろうとする近藤だが、あきらはそれを手に店から走り出した。

あきらが走って追いかけたと言う話にスタッフたちは湧く。

唯一吉澤だけは「陸上部のあきらなら追いつけるだろう」と言い、あきらがアキレス腱を切ってしまい、今は部活に行っていない事を話した。

なんとか追いついたあきらは忘れ物を届けるが、店に入った途端、足の痛みで座り込んでしまう。

近藤は、あきらを担ぎ上げると、自身の車に乗せた。

明らかに動揺している近藤に、あきらは近所に通っている病院がある事を話した。

病院につくと、「医師は軽い炎症が起きている」と言った。

骨折とかそんな事になっていないだろうかと狼狽する近藤。

医師は近藤を落ち着かせると、あきらにあまり無理をしない様に言った。

その夜、あきらは家のベッドに横になりながら、近藤が自分を担ぎ上げた時の事を思い出し、赤面していた。

淡い淡い恋心

翌朝、Tシャツにズボンとラフな姿のあきらは、ビーチサンダルを履き、松葉杖をついて外へ出ていた。

橋を渡っていると、反対側に近藤がいるのが見えた。

大声で近藤を呼ぶと、近藤は手を挙げてそれに応じた。

どうしてこんな所にいるのかと聞くと、「近藤は母親にお詫びをしに来た」と言い、手には手土産の水羊羹がぶら下げられていた。

しかし、母親は既に仕事に出た後だった。

2人でファミレスに入ると、近藤がどうしても母親に謝罪をしたいと言うので、あきらはそれを丁重に断った。

足の心配をした近藤が足元を覗き込む。

あきらの足には赤いペディキュアがしてあったが、近藤はケガのせいで内出血してるのかと真剣な顔をして聞く。

思わずあきらが噴き出すと、それを橘は不思議そうな顔で見つめる。

何かとあきらが問うと、近藤はいつもよりあきらがリラックスしている様に見えるといった。

ドリンクバーに向かった近藤は、コーヒーを手に戻ってきた。

近藤はあきらにブラックコーヒーを差し出すが、手をつけようとしない。

すると、「近藤はブラックは苦手だった?」といい、手品でポーションミルクを取り出す。

近藤はその光景にデジャヴを感じたが、あきらは何も言わなかった。

近藤は「何故何でも揃っている地元ではなく、ガーデンでアルバイトをしているんだ」と言うが、あきらは「ここは何もない場所だから」と言った。

あきらはしばらく近藤を見つめると、意を決して近藤に告白をした。

しかし、近藤はそれを好き(LOVE)ではなく、好き(LIKE)と捉えた様で、あきらの一世一代の告白は不発に終わった。

数日後、松葉杖なしでも歩ける様になったあきらは、久々に部活を見学する事にした。

校庭に降り立つと、それに気付いたはるかが部員たちを集め、あきらはあっと言う間に囲まれた。

ほんの数分、部員たちの走りを眺めていたあきらが帰ろうとすると、はるかがあきらを呼び止める。

部活が終わったら、部員たちでご飯を食べにいくのであきらもどうかと言う話だ。

集まってきた部員のうちの1人があきらが最近ファミレスでアルバイトを始めた事を話していると、別の部員がじゃあそこへ行こうと言い出した。

しかし、あきらはそれを拒否した。

何となく悪い空気になってしまい、あきらは遠いからやめた方がいいと言い訳を言った。

帰り道、雨の中を傘もささずに歩いているあきらは、昔の事を思い返していた。

あきらは、昔から走る事が大好きで、陸上部でも次々に記録を出していた。

だが、ある日の練習中、あきらは右のアキレス腱を完全に断裂してしまう。

医師からは手術後も再断裂の恐れがあるので、しばらく安静にする様に言われた。

松葉杖をついて登校し、廊下から窓の外を眺めていると、雨の中練習に向かう陸上部員たちの姿が目に入った。

ある日、病院に行った帰り道、あきらは近くのファミレスに入った。

窓から外を眺めていると、突然店員がやってきてコーヒーを差し出した。

頼んでいない、とあきらが言うと、店員はサービスだと言う。

しかしあきらが口をつけずにいると、「店員はブラックは苦手だった?」といい、手品でポーションミルクを取り出す。

そして店員は「きっとすぐに止みますよ」と言って、去って行った。

あきらは、窓の外を見ながら涙を流した。

あきらは、ずぶ濡れになった状態でファミレスの裏口の前に立っていた。

タバコを吸おうと窓を開けた近藤はあきらの姿に気づくと、中に入るように言うが、あきらはそこから動かない。

近藤が裏口を開け、呼び込むもあきらは動かない。

近藤が傘をさし、あきらの元に向かうと、あきらは真剣な眼差しで「あなたの事が好きです」と言うと、そのまま去っていった。

近藤の思い

近藤は小さなアパートに1人で暮らしている。

帰宅し、着替えると窓を開け、タバコをふかす。

2つある部屋の片側は書斎の様になっていて、部屋にはたくさんの本、机の上には真っ新な原稿用紙と万年筆があった。

居間の機能をしている部屋に戻ると、テレビをつけた。

ニュースでは未成年に手を出した中年男性が逮捕されたニュースがやっており、近藤は即座にテレビを消した。

翌日、ファミレスの外を近藤が掃除していると、あきらが出勤してきた。

しかし、あきらは何事も無かったかの様に挨拶をし、そのまま店に入っていった。

あきらがまかないを食べている時に居合わせた近藤が話しかけるタイミングに迷っていると、いつの間にかあきらが背後に立っていた。

あきらは先日の水羊羹のお礼と、昨日の告白が本気である事を近藤に話した。

そしてあきらは、近藤に自分のことをどう思っているのかと昨日の返事を迫った。

その瞬間、ユイと吉澤がバックヤードに入ってきた。

ユイと吉澤はこれからカラオケに行くと言う。

ユイはあきらを誘い、近藤も行ったらいいんじゃないかと言うが、あきらは足がまだ本調子じゃないとそれを断った。

ユイとそれなら吉澤と2人きりかと湧き立つが、吉澤はそれならいい、と店を出てしまった。

2人が出ていくと、近藤はあきらを車で送ると言った。

あきらが驚いていると、さっきの話の続きがしたいからと近藤は言った。

車に乗り込むと、近藤はあきらの告白に、返事は出来ないと言った。

何故かと詰め寄るあきらに、近藤はまず世間がどう思うか、自分は45歳で、17歳のあきらを連れていたら何か良くない方向に間違われる可能性がある事を話したが、あきらはそんな事問題ないの一点張り。

俺のどこがいいのかと呟く近藤に、あきらは好きになる事に理由はいらないと言う。

しかし、近藤は俺たちには理由がいる、とあきらを窘める。

「大体、俺なんかとデートしてごらんよ・・・」と近藤がぼやくと、あきらは「今デートしてごらんよって言いましたよね????」と迫った。

あきらの勢いに負けた近藤は思わず、「言いました」と言ってしまう。

この恋は『幻想』か、それとも

翌日、あきらが通学路のバス停でデートの予定が書き込まれた手帳に顔を埋め、ニヤケていると、近くの女子高生が好きな人と仲良くなれると言うマスコットの話をしていた。

そのマスコットは、決して可愛くはないが凄く効くと言う。

バス停近くの売店にそのマスコットのガチャガチャを見つけたあきらは、一心不乱にガチャガチャを回していた。

するとそこへ、はるかが現れた。

2人は同じバスに乗り込むと、どうしてそんなにそのマスコットが欲しいのかとはるかが聞いた。あきらはそれには答えず、タブったカプセルをはるかに押しつけた。

今日の加瀬のまかないにはサラダがついていた。

あきらが文句を言わずに持っていくと、サラダはいいんだと加瀬は呟く。

すると、まかないを持って、バックヤードに行こうとするあきらが足を止めた。

視線の先が気になった加瀬は、その先に近藤がいる事に気付く。

あきらが教科書を見ながら、まかないを食べていると、そこへ同じくまかないを持った加瀬が入ってきた。

教科書見せてよと言う加瀬に、あきらは何の気なしに教科書を見せる。

しかし、その教科書にはあきらと近藤の相合傘が描いてあった。

あきらが秘密にしてほしいと言うと、「加瀬はデートしてくれたら秘密にしてもいい」と言った。

後日、加瀬とのデートにあきらはTシャツ・ズボン・ビーチサンダルで現れた。

「学校行って、着替えてこれ?」と加瀬は言うが、あきらはそれに返答する以外の事は言わなかった。

映画を見て、その後カフェに入ると、「加瀬は陸上がダメになってどんな気持ち?45歳のおっさんに恋してんのキモくない?」と言葉を投げつける。

腹を立てたあきらは、デートしたから秘密にしてくれますよねとお金を置いて帰ろうとする。

加瀬はそれを引き止めると、お金は置いて行かなくていい、君と店長は絶対にうまくいかないと言った。

その後、あきらは近藤とのデートに臨んだ。

加瀬の時とは違い、あきらは精一杯めかしこんだ。

加瀬の時と同じようなデートコースでカフェに入ると、「あきらは次はどこへ行こうか」と近藤に言う。

しかし、近藤はそろそろ帰った方が良いと言う。

近藤と一緒なら朝までだっていれるとあきらが息巻くと、近藤は飲んでいたコーヒーを噴き出した。

食い下がるあきらに、近藤はそれでもなお帰る様に言った。

それならと近藤を夏祭りに誘うが、近藤は息子と行く予定だとそれを断った。

「この後どこかへ行くとして2人で行ける場所なんてあるのか」と近藤が言うと、あきらは「近藤が行きたい場所ならどこでもいい」と言う。

その後、近藤はあきらを大きな図書館へ連れていった。

自らを本の虫だと言い、昔は小説家を目指していたと言う近藤。

あきらはおすすめを聞くが、近藤は人に勧められた本を読むと合わなかった時が辛いと答えた。

そして、あきらが今日ここにいると言う事は、きっとあきらを呼んでいる本があるはずだと話した。

図書館を巡っていたあきらは、1冊の本を手に取る。

タイトルは「RUN 2017 国際陸上選手権大会 記録写真集」

近藤はそれを何も言わずに見つめていた。

一方、近藤もある本を手に取っていた。

「波の窓辺」と言う小説で作家の名前は九条ちひろと書いてあった。

本を手に取る近藤を見つけたあきらが話しかけると、近藤は知り合いの書いた本だと言う。

家に帰ったあきらは図書館で借りてきた記録写真集に目を通す。

近藤はタバコをふかしながら机に向かうが、筆は進まず、結局原稿用紙は真っ新なまま。

翌朝、あきらが登校すると、校舎にいるはるかが窓から何かを投げてきた。

あきらが驚きながら受け取ると、そこには先日話していたマスコットがあった。

後輩からマスコットの話を聞いたはるかは、あきらの為にガチャガチャを回していた。

カプセルを開けると、中には「私たちの友情は陸上だけじゃなかったよね!」と書かれた小さな紙が入っていた。

夏祭りの日、あきらははるかを誘っていた。

「お互いに浴衣を纏い、こんな風に遊ぶなんていつ以来だろう」とはるかが話していると、あきらがある人達に目をつけた。

はるかに少し待っている様に言うと、あきらはその人物達の元に走っていった。

はるかの目線はそちらに移るが、そこにいたのは子連れの中年男性だった。

あきらは楽しそうに男性と会話している。

少し経ってからはるかの元に帰ってきたあきらに、はるかは今のが誰なのか質問すると、バイト先の店長だと答えた。

どこか嬉しそうにそわそわしているあきらに、はるかはあきらが恋をしている相手があの店長だと勘づく。

あきら、最近何も話してくれないよねとはるかが問いただすと、あきらはそっちだって何も聞いてこないじゃんと言った。

険悪な空気になる2人。

はるかは涙を浮かべながら、その場を離れてしまった。

九条ちひろとの再会

近藤は息子と別れ、1人で居酒屋を訪れていた。

いつ来ても騒がしい居酒屋で、近藤を待つ人物がいるのだ。

近藤が店内を進んでいくと、その人物がいるテーブルに腰を下ろした。

そこには、九条ちひろがいた。

久々の再会に乾杯を交わすと、近藤は九条の本を読んだことを話した。

感想を求める九条に、近藤はまあまあ面白かったと感想を述べた。

まあまあってなんだよ、と九条は苦笑しながらも、あるものをテーブルに出した。

それは近藤と九条が大学にいた頃に作成された同人誌だった。

パラパラと同人誌を眺めながら、思い出話に花を咲かせる2人。

居酒屋を出ると、九条はタクシーで帰ると言うので、売れっ子作家様はいいなぁと近藤が絡んでいると、九条が乗るかと言うが近藤はそれを断った。

近藤は、小説の女子高生の描写が良くないと九条に、苦言を呈す。

どうして分かるのかと九条が聞くと、近藤は職場のアルバイトで沢山見てると言う。

すると何を察したのか、九条は俺達は大人じゃなくて、同級生なんだからな、と釘をさしてタクシーで帰って行った。

翌日、あきらがいつもの様にガーデンで勤務していると、加瀬がまかないを何にするかと聞いてきた。

しかし、先日の一件で機嫌を損ねているあきらは、その日のまかないを吉澤に頼んだ。

まだ皿洗い担当の吉澤の作ったサンドイッチは、黒こげになっており、一口食べると案の定苦味しかなかった。

苦味に顔をしかめていると、店の外から近藤が窓を叩いた。

外に出ると、近藤は何かあったのかとあきらに聞いた。

あきらは、先日の夏祭りではるかと喧嘩をしてしまった事を近藤に話した。

落ち込むあきらに、近藤は学生の頃、ずっと一緒にいたのになんとなく疎遠になってしまった友人の話を始めた。

そう言う関係性の人とは久々に会ったとしても、すぐに学生の頃の感覚に戻れる。

かけがえのない時間を過ごしていれば、それが消える事はないのかもしれない。

しかし、あきらは「もう関係の修復は難しいかもしれない」と言った。

近藤はそれがあきらの決めた事なら、いつか懐かしく思えるかもしれない。

でも、諦めなのだとしたら、そこに立ち止まったままになってしまうかもしれないと話した。

倉田みずきとの出会い

ガーデンで勤務をしていたある日、女子高生が1人で座る席に料理を運んだあきら。

すると、女子高生は驚いた様にあきらの名前を口にした。

女子高生は倉田みずきと名乗った。

みずきも陸上部員で、中学生記録を持つ期待のホープだ。

あきらほどの凄い選手がどうしてファミレスでバイトなんかしているのか、とみずきは聞くが、あきらは何も話さずにその場を立ち去った。

後日、みずきの高校はあきらの高校で合同練習を行った。

やはりそこにはあきらがおらず、みずきは一方的にあきらは部活を辞めたのか、どうしてファミレスでアルバイトをしているのかと質問した。

あきらに会ったのかと聞くはるかに、みずきはたまたま通っている病院の近くのファミレスにいたので、と話した。

勤務中、あきらがゴミ捨てをしていると、そこへみずきが現れた。

声と姿に立ち止まるあきら。

みずきは、その場にカバンを放り投げると、クラウチングスタートであきらの元へ走り込んだ。

何故走らないのかと聞くみずきに、あきらは関係ないと答える。

みずきは、自分もあきらと同じ様にアキレス腱を断裂していた事を話した。

走れずに腐っていた時、偶然大会で見たあきらの走りにパワーをもらい、いつか一緒に走るためにリハビリをしたと言う。

そのうち、あきらが持っている記録も絶対に抜くとみずきは宣言し、その場を去った。

その日の夜、帰り支度をしているあきらに、昼間の出来事を偶然見かけた近藤が話しかける。

来月のシフトを『月・火・金・土、日曜も可』と提出しているが、学校や他にやりたい事があるならそちらを優先していいと近藤は言う。

しかし、あきらは他にやりたい事なんてないですと言い放ち、店を出た。

近藤が困ったように頭をかいて、バックヤードを出ると、そこにはまかないを持った加瀬が立っていた。

帰宅したあきらは、母親に大きな紙袋を差し出し、テレビを見始めた。

中は全て捨てていいものだと言う。

紙袋を受け取った母親は、中にスパイクやユニフォームが入っている事に気づく。

本当に捨てていいのかと聞くと、あきらは捨てていいと言う。

でも、「また使うかもしれないじゃない」と母親が言うと、「だからいらないって!!!」と自分の部屋へ戻ってしまった。

あきらと近藤、2人が立ち向かうべきもの

近藤は、息子の靴を探しにスポーツショップを訪れていた。

かけっこを早く走れると評判の靴が欲しい、と店員に話している姿を近くにいたはるかが見つめている。

近藤が靴を待っている間、はるかは近藤に話しかけた。

詳しいんですねと近藤が言うと、はるかは陸上やってるので、と言った。

はるかは近藤に、結婚はしているのかと切り出した。

驚きつつもバツイチだと答えた近藤は、足元にキーホルダーが落ちている事に気づく。

拾い上げると、それをはるかに渡した。

近藤は、アキレス腱を断裂してしまった人間は前と同じように走れないのか、とはるかに聞いた。

はるかが「そんな事はないです」と答えると、近藤は安堵した様によかったと呟いた。

近藤が風邪をひいて休みを取ったある日、来店の合図にあきらがフロアに入ると、そこにははるかがいた。

注文を取るあきらにはるかは、みずきがあきらと同タイムを叩き出した事を話した。

そして、いつでも待ってるからと言うと、注文をキャンセルし、店を出ていった。

あきらがバックヤードで先ほどのはるかの言葉を考え、突っ伏していると、そこへ加瀬がやってきた。

「加瀬はそんなの食べない方がいい」と吉澤の黒こげサンドイッチと自分の持っているサンドイッチを交換する。

加瀬は、店長が明らかに困っているのにまだ恋愛ごっこしてるのか、と指摘する。

困惑するあきらに、「店長も店長なりにどうしたらあきらが笑顔でいられるか考えてるんじゃないか」と加瀬は言った。

黙り込むあきら。

加瀬は、決着つけた方がいいんじゃないのとバックヤードを出ていった。

風邪をひいて寝込んでいる近藤の部屋のインターホンが鳴る。

ドアを開けると、そこには雨の中、あきらが立っていた。

近藤はあきらを中に入れると、あきらは借りたタオルで体を拭いた。

店で何かあったのかと近藤が聞くと、あきらは頭を振った。

やっぱり近藤の事が好きだと話すあきらに、近藤は何をやっても中途半端で人に誇れる事なんか何一つないただのおじさんだと言った。

しかし、あきらは店長は素敵ですと折れない。

その姿に近藤は、あきらの方がキラキラ輝いていて素敵だと話した。

「近藤の事を思うと、胸がちぎれそうだ」と言うあきらに、若さと言うものは、時に乱暴なもの。

でも、「その時に経験した感情はかけがえないのない財産になる」と諭すが、あきらは「私じゃダメなんですか?」となお質問する。

「ダメな訳がない。あきらは誰が見ても素敵だ」と話していると、部屋のブレーカーが落ちてしまった。

近藤が「あきらと一緒にいると自分のかけがえのない財産を思い出す事ができたし、感謝している」と言うと、あきらは近藤に抱きついた。

近藤は驚きつつも、あきらの背中に手をのばす。

すると、電気が突然が点いた。

慌てふためき、今のは変な意味じゃない。

友達としてのハグだからと釈明する近藤。

そして、「あきらの気持ちに答える事は出来ない」と言った。

暴風雨の中、あきらをタクシーに乗せた近藤は、飛ばされそうになりながらもタクシー代を運転手に手渡す。

そして友達として、息子に走り方を教えてほしいと頼んだあと、風に煽られてしまう。

朝、近藤が目を覚ますと部屋に九条がいた。

なんでいるんだと驚く近藤に、「お前が夜中に呼んだんだろうが!」と九条は雑炊を作る。

タバコを吸おうとする九条に、近藤は隣の部屋で窓を開けろと言う。

九条は窓を開けながら、夜中にうなされて連呼していた「橘さん」とは誰かと質問する。

近藤はむせ返りながらも「橘あきら」と言うバイトの男性だと答えた。

結婚でもしないと孤独死するぞと言う九条に近藤が同じことを聞き返すと、九条は小説と結婚したと言う。

それなら、俺は小説にずっと片思いだと近藤は呟く。

じゃあ両思いにすればいいと九条は言うが、近藤は無理だと突っ撥ねる。

それでも、小説家を諦めきれない自分は未練がましいと近藤が自嘲すると、九条はそれは執着だと言った。

足掻いて足掻いて前に進もうとするのは執着だ。

「そう言う言い方の方がいいだろ」と九条は言った。

売れっ子作家とは言え、この先が保証されている訳じゃない。

それでも、小説が好きで好きで仕方がないから執着するしかない。

そう言うと、「飲むか?」と買ってきたウイスキーを近藤に差し出した。

「飲まねぇよ」と近藤は笑った。

近藤の風邪が大分良くなった頃、あきらは海岸沿いで、近藤の息子に走り方を教えていた。

近藤は大きなマスクをして、それを眺めている。

あきらのレクチャーが終わると、近藤は礼を述べた。

息子は、走るのが嫌いだったと近藤は言った。

でも、走る事の気持ちよさを知っているあきらなら、それを教えてくれるのではないかと思ったと言う。

そして、「来月からシフト入らなくていいよ」とあきらに陸上部への復帰を促した。

あきらは母親に、スパイクとか捨てちゃったよね?と聞くと、母親は捨てる訳ないじゃないと言った。

翌朝、あきらはウエアを着ると、玄関を出た。

同じ頃、近藤は原稿用紙に向かい、筆を走らせていた。

あきらが橋の上で入念にストレッチをしていると、そこへはるかが現れ、ストレッチを始める。

しばらくすると、2人は一緒にランニングを始めた。

一方、みずきの元には次の大会予選にあきらが出場するとの知らせが届いていた。

そして、それぞれの道へ

あきらが働いていたファミレスでは吉澤が調理をミスり、ユイが吉澤を叱咤していた。

バックヤードで食事をとっていた久保は、店長の机にある原稿用紙に目をつける。

厨房からの提供の指示に新人女性が手を出すが、誤って皿を落としてしまう。

悪びれもせずに作り直しを頼む女性に、加瀬はじゃあその代わりにデートしてと軽口を叩く。

それに対し、女性も軽々しくOKをする。

ユイは割れた皿を片付けながら、あきらに帰ってきてほしいとぼやく。

バックヤードの久保はニヤニヤしながら原稿用紙をめくっていた。

河川敷を車で走っていた近藤は、偶然あきらたち陸上部の一団と遭遇する。

近藤が車を停めると、それに気づいたあきらが立ち止まる。

そして、それに気づいたはるかは一礼すると、部員たちを率いてその場を離れていく。

「元気?」と聞く近藤。

「はい」と答えるあきら。

「お元気ですか?」と聞くあきら。

「うん」と答える近藤。

近藤は、「もしかしたら昇進するかもしれない」とあきらに言った。

あきらは「凄いです!」と言った後、しばらくもじもじしていたが、意を決して「私たち友達ですよね?」と聞く。

近藤は頷く。

そして、あきらは言った。

「友達だったら、メールとかすると思うんです」

「私、店長とメールしたいです」

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映画「恋は雨上がりのように」を見た感想と考察

恋愛映画だと思ってました

恥ずかしながら、映画を見るまでは女子高生と中年男性の恋愛映画だと思ってたんですが、違いましたね。

もっと深いものがある映画でした。

あきらが店長に恋をしていると言う恋愛映画の要素と、陸上へ再度挑んでいく青春映画の要素と、夢を諦めてしまった近藤の少しビターな大人の世界と。

これは何映画と形容するのが正しいか少し迷いますね。

清々しい爽快感がある点では、青春映画と言うべきでしょうか。

『普通のおじさん』を演じると言う事

個性的な役であるとか、インパクトのある役と言うのも大変だと思います。

ですが、劇中の台詞にもあった様に、近藤は『パッとしない中年男性』です。

俳優ではないので、えらそうな事は言えないのですが、こういった『普通』の人と言うのが、実は一番難しいのではないでしょうか。

当然お芝居なので、素で出るのはもっての外ですし、だからと言って演じ過ぎても違和感が出てしまう。

その微妙なさじ加減を見事に操り、近藤の『パッとしない中年男性』と言う設定を、ここまで自然に見える様にしている大泉さんの演技力は本当に素晴らしいです。

加瀬亮介役:磯村勇斗さんの存在感

あきらのアルバイト先で、厨房担当として働いている加瀬亮介。

最初は女性に対して軽薄な人間と言う印象と、頼んでもいないのにあきらに正論を投げつける辺りで感じるいらつき。

しかし、あきらにアドバイスをしたり、内心で近藤の事を考えたりする時には、少しいい男に見えます。

最初に感じた印象と物語が進んでいくにつれて感じる印象が全く違って見える所が、素晴らしい演技力だと感じました。

磯村さんは27歳(2020年時点)と言う事なので、これから先がますます楽しみな俳優さんですね。

映画「恋は雨上がりのように」の評価とまとめ

近年の漫画実写化作品の中では5本の指に入ると言っても良いほど良作ではないでしょうか。

もちろん、原作漫画が素晴らしいと言うのもあると思いますが、出演俳優さんたちの演技力がとにかく素晴らしい作品でした。

脇を固めるキャスト達も実力派揃いで、見ごたえがあります。

原作ファンの方は完成度を、そうでない方は、あきらと近藤がもう一度歩き出すまでの過程を見届けてみてはいかがでしょうか。

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