『シェイプ・オブ・ウォーター』は第90回アカデミー賞では作品賞、そしてギレルモ・デル・トロ監督自身が監督賞を受賞したことでも話題になった、人間と半魚人の恋を描いた物語です。

また、ギレルモ・デル・トロの代表作でもある『パシフィックリム』の続編のオファーよりも、本作を優先したことほどの力の入った作品としても有名です。

声の出せない独り身の女性、イライザは職場に連れてこられた不思議な生命体と出会い。

やがて不思議な彼とイライザは心を通わせるが、彼は実験体として解剖されそうになり。

水のように、形のない愛の物語のネタバレあらすじや感想考察を、どこよりも詳しく紹介します。

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映画「シェイプ・オブ・ウォーター」の作品情報

【公開日】
2018年3月1日(日本)

【上映時間】
123分

【監督】
ギレルモ・デル・トロ

【脚本】
ギレルモ・デル・トロ
ヴァネッサ・テイラー

【出演者】
イライザ・エスポジート:サリー・ホーキンス
リチャード・ストリックランド :マイケル・シャノン
ジャイルズ:リチャード・ジェンキンス
彼:ダグ・ジョーンズ
ロバート・ホフステトラー博士:マイケル・スタールバーグ
ゼルダ・フラー:オクタヴィア・スペンサー
フレミング:デヴィッド・ヒューレット
ホイト元帥:ニック・サーシー
バーナード:スチュワート・アーノット
エレイン・ストリックランド:ローレン・リー・スミス

映画「シェイプ・オブ・ウォーター」のネタバレとあらすじやラスト結末

時はアメリカとソ連が宇宙開発で争っていた冷戦の時代、イライザは一人アパートで暮らしていました。

イライザは慣れた手つきで、日課である自慰行為に励んでいました。

そんなイライザは、掃除係として働く宇宙研究センターへと向かいます。

彼女は過去、喉に傷を負い、その影響で声が出せないでいました。

イライザはアマゾン川に生息していた不思議な生物と出会う

親友である黒人女性のゼルダがイライザに話し込むところに、鉄に閉じ込められた桶のような物が運ばれてきました。

その中には、えも言えぬ美しさを持った半漁人がいました。

ストリックランドという暴力的で元軍人の男性が、その半魚人の管理を任されていました。

ストリックランドは半魚人を調教しますが、反抗され、指を噛み千切られてしまいます。

イライザはその掃除を任され、噛み千切られた指を発見します。

そこで、イライザと半魚人は出会うのでした。

イライザは手話を用いて、彼との交流を計ります。

彼もまた、自らを怖がらないイライザの手話を覚え始めるのです。

イライザの日常

イライザは、隣人の売れない画家かつ同性愛者のジャイルズと仲良くしています。

そんなジャイルズはパイ屋の若い男性に恋をしていました。

仕事前や休日には彼とテレビを見たり、好きな男性と話すために足しげく通うパイ屋のパイを一緒に食べたりしていました。

しかし、声を出せないイライザの生活は毎日同じことの繰り返しでした。

冷戦時代に蔑まれる黒人女性や同性愛者との友好関係はありますが、仕事や現実での立場が変わるような出来事はありませんでした。

そんなイライザの平凡で貧しい日常は、彼との出会いで一変し、色めき始めるのです。

イライザと彼は関係を深めていく

その後、イライザは隙を見つけては何度も彼の元へと出向くのでした。

手話や音楽を通して心を通じ合わせ、次第に二人は魅かれ合います。

激しく見つめ合う二人を、彼の研究を目的として訪れたホフステトラ―博士が目撃します。

純粋な研究心を持ったホフステトラ―はそんな二人を見守るのでした。

ホフステトラ―は、ソ連のスパイでもあり、半魚人の報告をが彼の義務でした。

生物としての研究に、ホイト元帥はあまり興味を示さず、ついに解剖が決定するのでした。

また、それを知ったソ連は、アメリカに濃厚な研究をされるぐらいなら、その前に半魚人を殺害することを、ホフステトラ―に命じました。

ホフステトラ―はそれに応じず、イライザと共に彼を連れ去る計画に加担するのでした。

彼の救出作戦が始まる

イライザは親友のジャイルズに協力を仰ぎます。

ジャイルズはやっと来た仕事の依頼で、ピリピリしていました。

「彼を助けなければ、私たちも人間でなくなってしまう」そんなメッセージを伝えるイライザを置いて、彼は仕事へと向かうのでした。

しかし、彼の仕事は失敗に終わり、恋するパイ屋の男性に慰めてもらおうとするも、あっけなく拒絶されてしまいました。

大切な友人を裏切ってしまったことを悔いたジャイルズは、イライザに協力します。

研究施設での計画途中、免許証の偽装がバレてしまいストリックランドに銃を向けられるも、なんとか彼をイライザの家に連れ出すことに成功しました。

イライザは彼を逃がそうとするが

一時的に、イライザは彼を自宅の浴槽に住まわせることにしました。

次の雨の日に外に逃がしてあげようと考えるイライザは、彼への恋心を止められません。

彼もまた、やはりモンスターであり、ジャイルズの家に飼っていた猫を食べてしまいます。

怒りを察知し逃げ出した彼は映画館で、イライザと永遠に続くと思えるような愛を共有するのでした。

彼を逃がした影響で、ストリックランドは管理の職を失い、出世コースを外れます。

ストリックランドは犯人探しのため、ホフステトラ―を尾行します。

ホフステトラ―はソ連の人間に殺されそうになり、そこにストリックランドも混ざります。

暴走するストリックランドは、ホフステトラ―を痛めつけ、彼の居場所を吐き出させた後、殺害するのでした。

ストリックランドが彼を突き止める

イライザが彼を逃がそうとし、海につながる川へと向かった雨の日、そこにストリックランドが現れます。

ストリックランドは銃を持って彼とイライザを制し、そこにいたジャイルズもまた、殴られます。

一か八かの時、ジャイルズが起き上がり、ストリックランドを殴り倒すのでした。

彼はその間に、彼の持つ不思議な力で傷を治癒します。

全身に怒りを漲らせ、ストリックランドを攻撃しました。

彼はイライザを連れ、海へと潜ります。

海中を漂う彼とイライザが唇を重ねると、イライザの傷が治るとともに、水中での呼吸ができるようになったのでした。

彼とイライザは、海の中、生涯を共にするのでした。

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映画「シェイプ・オブ・ウォーター」の感想と考察

『シェイプ・オブ・ウォーター』は、二人の、そして社会に蔑ろにされてきたマイノリティの人間たちの愛の物語に涙が止まらない、そんな作品です。

一見恐ろしい彼の姿や、中年女性のの自慰行為で幕を開ける映画とは思えないほどの、むしろ、そんなグロテスクさを孕んでいるからこその美しい映画になっています。

イライザの心象風景描写が非常に丁寧

映画という表現媒体では、セリフで感情を伝えることが非常に重要であるものの、本作品の主人公であるイライザは、言葉を口に出すことができません。

しかしイライザの人間性や感情は、観客に十分伝わります。

それを上手く伝える手法の一つとして、イライザの衣装があります。

イライザが彼に魅かれていくにつれて、彼女の身に纏う服装は鮮やかになっていっているのです。

ラストシーン、イライザは真っ赤な愛に染まり切っていることが、赤い服で表現されています。

また、イライザの気持ちは映画館のタイトルでも表現されています。

「砂漠の女王」と「恋愛候補生」まさに、彼と出会う前のイライザのことを示しているのです。

美しい映像の数々

本作品では、タイトルにもなっている「水」の持つ美しさを徹底して描かれています。

まずカメラワークですが、常にふんわりと浮いたように漂い、固定されないままで撮影が行われています。

また、イライザの家や研究所の背景など、細かいところで緻密な作り込みが見られます。

イライザの家の壁では、日本の画家、葛飾北斎が書いた波がほのかに見えるように作られていることも、有名です。

そしてなんといっても、アカデミー賞で音楽賞を受賞したほどの劇中の背景音楽が素晴らしいものだと言うほかありません。

聴いているだけで、海の中に自分がいるような気持ちになってしまうものばかりです。

彼が、クリーチャーであることの意味

作中、彼は猫を残酷に食い殺します。

これには、どういった意味があるのでしょうか。

それを考えるに当たって、ギレルモ・デル・トロが愛する「アマゾン川の半魚人」「美女と野獣」という映画を参考にしましょう。

この二作品に共通することは、「クリーチャーのままでは愛してもらえなかった」ということです。

「アマゾン川の半魚人」では、半魚人が美女に恋するも、恐れられ恋は叶わない。

また「美女と野獣」では、最終的に野獣は容姿端麗な姿に戻され、解決するといった話です。

これを大の怪獣・クリーチャーファンのギレルモ・デル・トロは、クリーチャーのまま愛することを意識して、本作品を作っているわけです。

ですから半漁人の、神秘的なオーラだけでなく、猫を食うというクリーチャーらしさも大事にしたのですね。

また、物語が後半に向かうにつれて、むしろ本当のクリーチャーはストリックランドではないかと感じさせられる恐ろしさと、人間らしさを手に入れる彼との対比も、印象的に描かれています。

映画「シェイプ・オブ・ウォーター」の評価とまとめ

まさに、生涯に一本の映画

私が子供の頃からゴジラを愛する少年であったことから、クリーチャー愛を叫ぶことの映画が深く突き刺さり、涙が止まりませんでした。

また、映画館を神聖な場所として描くシーンも、ジェットコースターのある遊園地よりも映画が救いだった自分のような人間にとっては、共感が止まないものでした。

そういった、ギレルモ・デル・トロによるマイノリティやクリーチャーに対する愛のこもった映画でした。

まとめ

声の出せない女性と、神秘的な生き物の愛を描いた『シェイプ・オブ・ウォーター』

思わず真似したくなるような手話のシーンや、トイレで手を洗わないストリックランドという人間など、印象に残るシーンも多く、非常にエンタメ性に富んだ作品でありながら、マイノリティに寄り添っている点でも、非常によくできています。

愛に溢れる、少し大人な物語を楽しみたい方は、ぜひご覧になってはいかがでしょうか。

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