2014年の米国アカデミー賞で、監督賞ほかあらゆる部門でノミネート&受賞の映画「ゼロ・グラビティ」。

監督はメキシコ系のアルフォンソ・キュアロン、脚本は彼の息子との共作。

宇宙空間を漂うリアリティを徹底的に追及した映像と、リアルタイムで進んでいく宇宙漂流の恐怖、そして人間が「生きること」への活力を見出してゆく哲学的美しさ。

ほとんどが主演サンドラ・ブロックの一人芝居となるシンプルなストーリーの中に、映像技術と力強い脚本がつまった傑作です。

そこで今回はゼログラビティのネタバレあらすじと感想考察や評価など、総合的な情報を解説していきます。

スポンサーリンク

映画「ゼロ・グラビティ」の作品情報

【公開日】
2013年12月13日(日本)

【上映時間】
91分

【監督】
アルフォンソ・キュアロン

【製作】
アルフォンソ・キュアロン
デヴィッド・ハイマン

【脚本】
アルフォンソ・キュアロン
ホナス・キュアロン

【出演者】
サンドラ・ブロック(ライアン・ストーン)
ジョージ・クルーニー(マット・コワルスキー)

【第86回アカデミー賞受賞】
監督賞
作曲賞
音響編集賞
録音賞
撮影賞
視覚効果賞
編集賞
主演女優賞(ノミネート)
作品賞(ノミネート)

映画「ゼロ・グラビティ」のネタバレあらすじ

破壊されるスペースステーション、宇宙に投げ出される恐怖の冒頭

医療技師であるライアン・ストーン。

彼女にとってこれは初めてのスペースミッションでした。

2人のパートナー、マット・コワルスキーとシャリフとともに宇宙船外でハッブル宇宙望遠鏡の修理作業を行っていました。

和やかに順調に修理は進んでいましたが、ヒューストンから緊急の通信が。

ロシアが自国の衛星を破壊し、衛星の破片が作業中の米国スペースステーションへと向かってきます。

直ちに避難、地球へ帰還せよとの命令が下るも時すでに遅し。

重力も空気抵抗もない宇宙空間で散らばった宇宙ゴミは、速度を落とすことなくものすごいスピードで接近。

容赦なくスペースステーションへと衝突し、3人はスペースシャトルのアームから切り離されバラバラに宇宙空間へと投げ出されてしまいます。

酸素残量10%、ヒューストン応答なし。
シェリフは宇宙ゴミが頭部を貫通し、死亡。

そのほかの乗組員たちも、破壊されたステーションのなかで誰一人と生き残ったものはいませんでした。

スペースミッション歴の浅いライアンはパニックになりながらも、指揮官であるコワルスキーからの通信指示でなんとか自分の身体をコワルスキーとロープで繋ぐことに成功します。

広い宇宙にたった一人残されたライアン

互いをロープで繋ぎ合わせることには成功した2人でしたが、酸素は容赦なく減ってゆきます。

10%、8%、5%、2%・・・。

恐怖を隠せず酸素を激しく消費してゆくライアンを落ち着かせるため、コワルスキーはいつもの調子で話かけます。

必死で平常心を撮り戻そうとコワルスキーの話に耳を傾けるライアンは、イリノイでの生活を話してゆくうちに4歳で亡くなった娘の死についてを語りだします。

鬼ごっこをしていたときに頭を打って死んだの、バカな死に方だったわ。

元気づけるためにはじめた家族の話でしたが、二人の間には緊張感が高まるばかりでした。

希望を胸に国際スペースステーションへと宇宙遊泳で近づいてゆく2人でしたが、こちらもすでに破壊されています。

かろうじて破壊されずに残っていた宇宙船で、更に離れた場所にある中国のスペースステーションへの非難を計画するコワルスキー。

しかし宇宙船へと到着するより早く燃料切れを起こし、減速ができないまま宇宙船に激突。

ライアンはなんとかひっかかるも、コワルスキーは宇宙に放り出されてしまいます。

ロープでつながれたコワルスキーに引っ張られて、このままではライアンまでも宇宙船から離れてしまいます。

諦めることを学べ、そう諭したコワルスキーはライアンの制止を遮りロープを絶ちます。

ガンジス河を照らす太陽が美しい・・・その言葉を最後に、コワルスキーとの通信は途絶えました。

またひとつ破壊される、「地球帰還への方法」

無事宇宙船の中へ到達したライアン。

宇宙服を脱ぎ捨て一息ついたのもつかの間、この宇宙船も少ながらず宇宙ゴミのダメージを受けており、間もなく船内で火災が発生します。

消化を行うも消し止めることはできず、火災の発生した箇所を切り離すことに。

しかし切り離した機体はひっかかり、宇宙船から離れていきません。

再び宇宙服で船外作業へと向かうライアン。

しかし地球の周りを周遊している宇宙ゴミは、90分周期で同じ場所へ巡ってくるため、ライアンは再度衝突を受けるはめに。

地球を1周まわって再びやってきた宇宙ゴミは、音もなく全てを破壊して過ぎ去っていく。

コワルスキーと亡き娘からの励ましの声、私は帰還をあきらめない!

なんとか逃げ込んだ脱出用ポットの中、燃料切れで身動きがとれないライアン。

途方もない孤独の中で叫ぶ声は、誰にも届かず、中国からのAM周波を受信するも、言葉は通じず八方塞がり。

今日いまから死ぬのに誰も知らず、祈ってもくれないなんて・・・。

寒さに凍えながら、死を悟り目を閉じるライアンだが、そこへ、外から扉を叩く音が。

いつもの戯けた姿でライアンのまえに現れたコワルスキーが、まだ帰還の可能性があると話しかけてきます。

着陸作業のエネルギーを使って、中国のスペースステーションまで移動するようアドバイスを与えるコワルスキー。

君の娘は死んだ、これ以上の悲しみはない。でもいま出来ることは何なのか?

地球に帰れ、大地に帰れ。

コワルスキーの幻の励ましを耳に一人目覚めたライアンは、帰還できる可能性を模索しはじめます。

地球への帰還、重力から生きる力を得てゆく

脱出用ポットの着陸機能を使いながら、まだ故障していない中国のステーションへと移動を試みるライアン。

ポットがステーションへ近づいたタイミングでポットから飛び出し、空気発射機を利用して体制を整え、中国宇宙ステーションをつかむことに成功。

まだ故障していないシャトルを見つけたライアン、中国語表記のシャトル操作に悪戦苦闘しながらも無事にステーションからの切り離しに成功します。

宇宙船は大気圏へ。

「生きても死んでも、これは最高の旅。私は準備できてる!」

大気圏を突破したポットはパラシュートを開きながら地球の海の中へと不時着。

海の底へと沈んだシャトルから宇宙服を脱ぎ捨て海面へ、重力を全身で味わうライアンの瞳には、みなぎる生きる力が宿っていました。

スポンサーリンク

映画「ゼロ・グラビティ」の感想と考察

91分の時間の流れで味わう「恐怖」、冒頭13分に凝縮された映画技法を見逃すな!

映画「ゼロ・グラビティ」は、本編91分。

昨今のハリウッド映画、題材は宇宙もの、アカデミー賞関連の大作・・・この条件を考えると91分はとてもコンパクトであるように感じます。

しかしこの91分という長さは、宇宙で起こりえるアクシデントの恐怖を観客に伝えるのにとても適した長さなのです。

ほぼサンドラ・ブロックの一人芝居で進行してゆく本編は、リアルタイムであるかのように物事が進行されてゆきます。

さらになんと、冒頭13分がワンカットの長回し!

船外作業から宇宙ゴミの飛来、衝突の衝撃でぐるぐると回り続ける自分の身体の動きをとめることができないライアン・・・までがワンカット。

出来事をリアルタイムに見せる手法はいま起こっている出来事への観客の理解を助けます。

ことのつまり、本作においては観客の宇宙への恐怖がいっそうあおられてゆくのです。

1分、1秒ごとに消費されてゆく酸素、無限に回転し続ける自分の身体。

酸素の保持のためには呼吸を整えなくてはならないのに、止まらないライアンの恐怖の喘ぎ。

そして90分ごとにやってくる宇宙ゴミへのカウントダウン。

アカデミー賞において技術面が大きく評価されたことの価値が、一般の観客にもわかりやすい作品です。

邦題「ゼロ・グラビティ」と原題「グラビティ」、そのタイトルの違いは?

日本においては邦題「ゼロ・グラビティ」、つまり「無重力」として公開された本作。

いっぽう英語の原題は「Gravity」、こちらは「重力」です。

邦題は、本作が最新のCGアニメーション技術をつかって、まるで本当に宇宙にいるかのような映像であることにスポットをあてたSF映画視点を重視したものです。

一方の原題は、宇宙という神秘と恐怖に溢れた空間から自分の力で重力のある地球へ帰還し、これからの人生を力強く生きてゆくライアンの物語、というヒューマン映画視点から考えられたタイトルと言えるでしょう。

ゼロが付くか付かないか、それだけで映画のテーマが大きく変わってきます。

個人的には、ラストシーンで重力のある地球に力強く踏み出してゆくライアンの画の印象が強く「グラビティ」が魅力的に思えます。

しかし宣伝はあくまでもこれから映画を見る人のためにあるもの。

SF映画としても素晴らしい本作が「ゼロ・グラビティ」と名付けられたことで多くの日本の観客を取得したこともまた事実です。

2つの視点が具体的に見えたことは、原題とはちがう邦題のある国で視聴する利点なのかもしれません。

映画「ゼロ・グラビティ」の評価とまとめ

見事、映像技術によって本来地球では撮影不可能である「無重力」を表現した傑作、映画「ゼロ・グラビティ」。

あらすじでも考察でも「宇宙の恐怖」を感じる映画であることを強調してきましたが、同時に美しい映画でもあります。

コワルスキーの最後の言葉ととも現れる陽に照らされた美しい地球。

宇宙服を脱ぎ捨てて無重力のなかで、まるで子宮の中の胎児を思わせる姿で孤独を体現するライアン。

音のない宇宙での無音の激しい衝突、流れることなく浮遊する涙。

美と恐怖の共存がすばらしく、他に類をみない宇宙もの映画です。

アカデミー賞こそ逃したものの、主演のサンドラ・ブロックの底力が発揮された作品でもあります。

91分の濃厚な映像体験をお楽しみください。

スポンサーリンク

おすすめの記事