「羊たちの沈黙」は、トマス・ハリス原作のミステリー・サスペンス映画です。
どんなレンタル・ショップにも置いてある作品の一つではないでしょうか。
それもそのはず、「羊たちの沈黙」はアカデミー賞の主要部門を総舐めにしています。
アカデミー賞には主要部門が五つありますが、すべてを獲得したのは「羊たちの沈黙」が史上三番目!
FBI訓練生が上官から命じられた「お使い」で、厳重に隔離されている異常犯罪者に会いに行くところから物語は始まります。
若い女性ばかり狙うシリアル・キラー「バッファロー・ビル」を巡って繰り広げられる、FBI訓練生・クラリスと常軌を逸した殺人鬼精神科医・レクター博士との息を飲む攻防。
1991年公開の映画とは思えない、スリルとサスペンスの金字塔といえる作品です。
そこで今回は映画「羊たちの沈黙」のネタバレあらすじと感想考察や評価などをご紹介します。
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目次
映画「羊たちの沈黙」の作品情報
【公開日】
1991年6月14日(日本)
【上映時間】
118分
【監督】
ジョナサン・デミ
【脚本】
テッド・タリー
【出演者】
クラリス・M・スターリング:ジョディ・フォスター
ハンニバル・レクター:アンソニー・ホプキンズ
ジャック・クロフォード:スコット・グレン
バッファロー・ビル:テッド・レヴィン
フレデリック・チルトン:アンソニー・ヒルド
アーディリア・マップ:ケイシー・レイモンズ
キャサリン・マーティン:ブルック・スミス
ルース・マーティン:ダイアン・ベイカー
バーニー:フランキー・R・フェイソン
映画「羊たちの沈黙」のネタバレあらすじとラスト結末
クラリス・スターリングは、FBI捜査官になることを目指して日々トレーニングに励む女性訓練生です。
大学はバージニア大学で、優秀な成績を収めて卒業で、FBI訓練校での成績もトップクラスです。
冒頭から彼女の真面目で熱心なその性格がうかがえます。
「“苦しさ”“悶え”“痛み”“苦痛”を愛せ」そんなメッセージを真正面から受け止めて、なんの疑いもなく努力してしまうような無骨なキャラクターです。
日課のトレーニングをしている途中、クラリスは上官である行動科学科の課長ジャック・クロフォード主任捜査官から呼び出しを受けます。
真面目な彼女は汗をかいたトレーナーもそのままに、クロフォードの元へ向かいます。
クロフォードとクラリスは、バージニア大学でもゼミの教授とゼミ生でもあった間柄。
成績優秀なクラリスは、訓練生ではありますが、クロフォードからある仕事を任されます。
その仕事とは「ある男」に会うことで、その男こそがハンニバル・レクターだったのです。
この時、世を騒がせていたのは、若い女性ばかりを狙い、殺害したあと生皮を剥ぐという猟奇殺人を繰り返していた「バッファロー・ビル」事件。
クロフォードは、ハンニバル・レクターからなにか事件解決への手がかりが得られればと考えていました。
けれど、ハンニバル・レクターはクロフォードになにも喋りません。
だから、優秀な訓練生であるクラリスに、ハンニバル・レクターを観察する仕事を任せたのです。
「非常に危険な男」「特別な異常者」etcetc……。
クロフォードから厳重に注意をされて、クラリスはハンニバル・レクターの収監されているボルティモア精神病院を訪れます。
クラリスとレクター博士との邂逅
ハンニバル・レクターの待つボルティモア精神病院でクラリスを迎えたのは、院長であるチルトン医師でした。
一泊していけとクラリスを誘ったり、クラリスは美人だからハンニバル・レクターにとっては刺激的だと言ったり、非常に軽薄な人物です。
そんなチルトンでさえ、いかにハンニバル・レクターが異常者か、厳重に警戒すべきかクラリスに訴えます。
過去に胸が痛いと訴えたハンニバル・レクターを牢から出したところ、看護師の舌を食べてしまったなんて事件もあったのですから、その警戒もさもありなんということでしょうね。
クラリスは収容されている異常者の一人・ミグズから辱めの言葉を投げつけられます。
隔離病棟の最奥、他の囚人の牢は鉄格子であるにもかかわらず、ハンニバル・レクターの部屋はガラス張りです。
そこにはクラリスの来訪を待っていたかのような、直立不動の姿のハンニバル・レクターの姿がありました。
のっけからハンニバル・レクターはガラス戸の上部に開けられた空気穴からクラリスの匂いを嗅いで、エビアンのクリームを使っているだとか愛用の香水はレール・デュ・タンだとかを特定します。
絵を描くことが趣味で、過去に見た記憶のみでフィレンツェの大聖堂を描いていたりもしています。
一見、他の異常者とは違い紳士的にも見えますが、クラリスが持参した質問事項には答えたくないと非協力的です。
それどころか、ハンニバル・レクターはクラリスに「バッファロー・ビル」事件について尋ねてきたりします。女性の生皮を剥いでいるバッファロー・ビルの目的について、FBIでは殺人の記念品なのだろうという認識ですが、ハンニバル・レクターはそうではないだろうとのこと……。
短時間のうちにクラリスの持ち物や鈍りなどを洞察し、ハンニバル・レクターは彼女の生い立ちを無遠慮に当てていきます。
これにはクラリスも黙っておれず、面会はお開きとなってしまいます。
隔離病棟をあとにするさなか、自慰をしていたミグズがなんとクラリスに精液を飛ばしてきます。
騒ぎ立てる囚人仲間と、戻ってこいと呼び戻すハンニバル・レクター。
ハンニバル・レクターにとっても、仲間がこんなことをするなんて予想外で不本意なことでした。
お詫びの意味もかねて、ハンニバル・レクターはクラリスにバッファロー・ビルにつながるヒントを与えます。
ミス・モフェットの倉庫
ハンニバル・レクターとの会話で過去を想起させられたせいか、クラリスは己の過去を思い返していました。
母は幼いころに亡くなり、父親は警官でした。クラリスは町の警察官である父親のことが大好きだったのです。
クラリスはしばらくの間、平穏な学校生活を過ごしていましたが、そこに上官クロフォードからの電話が。
なんと面会でクラリスを辱めようとしたミグズが一日中ハンニバル・レクターになじられた結果、自殺してしまったのでした。
また、クラリスは既にハンニバル・レクターから得たヒント、「ミス・モフェット」について調べていました。
ハンニバル・レクターの故郷であるボルティモアの貸倉庫で十年前から借りっぱなしの倉庫がありました。
契約者の名前はヘスター・モフェットです。
彼女はハンニバル・レクターと面会したその足で、倉庫を訪ねていました。
管理人とともに、三十一番倉庫に向かいますが、十年間締め切りの倉庫は全く扉が開きません。
管理人は諦めるよう言いますが、クラリスは車のトランクからジョッキを持ち出し、鉄の扉を上げていきます。
小さな隙間から身体を滑りこませ、中を捜査しに行くクラリス。
そこにはふくろうのはく製だの、壊れた大量のマネキンだのが置かれていました。
そして、星条旗の下に隠されていた乗用車に、ドレスを着た首のないマネキンと化粧をした男の首が入った瓶がありました。
クラリスは再びボルティモア精神病院に戻り、ハンニバル・レクターに面会していました。
ヘスター・モフェット(Hester Mofet)は私の残り(the rest of me)のアナグラムで、倉庫の借り主はハンニバル・レクターその人だったのです。
瓶の首はベンジャミン・ラスペールというハンニバル・レクターの元患者であった男のものでした。
しかし、殺したのは自分ではなく、別の殺人犯の仕業だとハンニバル・レクターは主張します。
躁うつ病でハンニバル・レクターの元に通っていた男に、生前女装をする趣味はありませんでした。
けれど、男は化粧を施され、女もののドレスをまとって死んでいます。
変身願望を持つ犯人の仕業と、ハンニバル・レクターは考えています。
話は終わりとばかりに、ハンニバル・レクターは上官のクロフォードがクラリスに情欲を抱いているなどと話しだします。
また、窓もない独房に嫌気がさしているハンニバル・レクター。
クラリスはベンジャミン・ラスペールを殺した人物とバッファロー・ビルは同一人物であり、ハンニバル・レクターはその人物を知っていると考えています。
資料を見れば、バッファロー・ビルを分析することができると、ハンニバル・レクターは手助けを買って出ます。
第五の被害者
ハンニバル・レクターがバッファロー・ビルの次の犯行を示唆したとおりです。
テネシー州メンフィスで、一人の女性が車を運転していました。
その様子を暗視ゴーグルをつけた犯人が、じっと狙いを定めています。
心優しい女性は、腕を怪我した男性が車にソファを運び込もうとしているのを見て、手伝いを申し出ました。
男に言われるがまま、女性は車に乗りこみソファを搬入します。
男性が服のサイズは十四かどうかと質問をしてきました。
唐突な質問に、女性は聞き返すが、その途端男性は豹変し、親切な女性を一発二発と殴りつけました。
衣服のタグを確認し、サイズが十四号であることにご満悦な犯人。
バッファロー・ビルは若い女性で、かつ大柄な対象ばかりを狙っていたのでした。
訓練中のクラリスは、またもや上官クロフォードから任務に同行してほしいと呼び出しを受けます。
新しいバッファロー・ビルの被害者の遺体が発見されたのです。
テネシー州の女性が、ウエストバージニア州のエルク川で揚がったのでした。
バッファロー・ビルにはルーチンがあるようです。
女性を誘拐したのちすぐには殺さず、三日間監禁して、生きているうちに傷つけることはしない。
銃で殺したあとに、肉体に傷をつけ、皮を剥ぎ取り、遺体は色々な川へと捨てるetcetc……。
被害者の葬式が営まれている教会への道すがら、クラリスはクロフォードからバッファロー・ビルの犯人像を問われます。
優秀なクラリスの回答にクロフォードも言うことはありません。
けれど、クラリスが提言したハンニバル・レクターを捜査に参加させることなどには慎重な態度を見せます。
その上、女性だからといって、クロフォードは教会に集う保安官との会議からクラリスを除け者にします。
残されたクラリスは、被害者の葬儀を覗きに行きます。葬儀の様子に、大好きだった父親が死んでしまったときのことを思い出すのでした。
検視を始めようというのに、飲み物片手にたむろしている保安官たち。
クラリスは彼らを追い返しま、そして始められた遺体の検視。
左胸に銃を押し当てられた跡と銃創があり、被害者の爪は二本剥がれています。
ピアスの穴にラメ入りの都会的なマニキュア等、被害者は都会の出身のようです。
そして歯の照合をするために撮った写真を見て、クラリスはなにかに気づきます。
被害者の口からはなにかの昆虫の蛹が詰まっていたのでした。
水中の木の葉はともかく、昆虫の蛹が遺体の喉に詰まることはありません。
犯人に押しこまれたのだろうと推測する捜査官たち。
そして遺体の背面は、大きなダイヤ型に二か所皮膚が剥がされていました。
帰路、クロフォードは保安官との話からクラリスを除け者にしたのは、保安官たちを追い払うためだったと証言します。
その後、クラリスは遺体から発見された昆虫の蛹を持って、研究所へ。
その結果、その虫はアケロンティア・スティックスという名前の無視であることが判明しました。
死の頭というあだ名がついた虫で、本来はアジアにしか生息していない種であり、研究者たちは卵を輸入して育てたのだと推測します。
そして早くもバッファロー・ビルの犯行現場には、新たな被害者が監禁されていたのでした。
ハンニバル・レクターとの交渉
新たな被害者はなんと上院議員の令嬢でした。
テレビでは、母親であるマーティン上院議員が、涙ながらに娘のキャサリンを助けてくれと犯人に訴えています。
クラリスは再びハンニバル・レクターの元を訪れていました。
クラリスはハンニバル・レクターから得た情報を、ドクター・チルトンに流していませんでした。
そのことで、ドクター・チルトンは自分は牢番ではないとおかんむりです。
クラリスはバッファロー・ビル事件の解決に協力してくれれば、上院議員の権限でニューヨーク州の森の見える病院に移すことも可能だと、ハンニバル・レクターに交渉を持ちかけました。
交渉とは別に、捜査に協力する見返りにクラリスの個人的な情報が知りたいと、ハンニバル・レクターは要求してきます。
子供のころの最悪な思い出について問われ、クラリスは十歳のころに経験した父親の死を語りました。
その話の見返りに、ハンニバル・レクターはバッファロー・ビルについて自分の意見を述べます。
被害者はすべて大柄な女性で、そこには被害者女性だけでなく、倉庫にあったベンジャミン・ラスペールの首からも蛾の蛹が発見されていました。
被害者に蛾を与える行動の意味するところは、“変化”だと、ハンニバル・レクターは語ります。毛虫が蛹に、蛹が蝶に変わるように、バッファロー・ビルは変化を望んでいるのだと。
そして再び、ハンニバル・レクターはクラリスの過去を知りたがります。
母はなく父は死に、十歳で孤児となったクラリス。
真の子供のころの最悪な思い出は、その先にあるのでした。
孤児となり、母のいとこ夫婦が営む羊牧場へと身を寄せたクラリス。
けれど、そこにはたったの二か月しかいませんでした。
性的な倒錯者は異常者ではありません。
であれば、バッファロー・ビルは性的倒錯者ではないというのが、ハンニバル・レクターの論です。
幼いころに受けた虐待が精神状態に影響を及ぼしていて、バッファロー・ビルは現在の自分から変化するために性転換を望んでいる。
性的な倒錯者ではないから性転換の手術を受けることができず、それが犯行の動機になっていると言うのです。
バッファロー・ビルは監禁している女性に、身体にローションを塗るよう強要しています。
這い上がることもできない古井戸の中、マーティン上院議員の娘・キャサリンは井戸の壁に、ラメ入りのマニキュアのついた生爪が血の跡に残っているのを見つけ、恐怖に叫びます。
ドクター・チルトンはクラリスとハンニバル・レクターの会話を盗み聞きしていました。
クラリスが持ってきた上院議員との交渉は真っ赤な嘘であったことを、ドクター・チルトンはハンニバル・レクターにばらしてしまいます。
ドクター・チルトンはクラリスの策を横取りし、自分が上院議員と交渉を行い、ハンニバル・レクターから情報を引き出して手柄を得ようとするのでした。
その場に忘れていった一本のボールペンが、のちに大惨事を引き起こします。
名前はルイスと、情報をドクター・チルトンに与えるハンニバル・レクター。
名字は直接議員に教えると、ドクター・チルトンに自分をテネシー州へと移送させます。
メンフィス国際空港で対峙したのは、キャサリンの母親マーティン上院議員。
ハンニバル・レクターは、バッファロー・ビルの本名はルイス・フレンドだと情報を提供します。
ルイス・フレンドは元患者のベンジャミン・ラスペールの恋人だった男とのこと。
散々、上院議員をからかって不快にさせたハンニバル・レクターは、そのままテネシー州のシェルビー群にある裁判所に収監されます。
美術館のような大広間に組み立てられた鉄格子、その中でくつろぐハンニバル・レクター。
クラリスは再び面会に訪問します。
ルイス・フレンド(louis friend)は硫化鉄(iron sulfide)のアナグラムでした。
まがい物のつづり変えだとクラリスは言いますが、硫化鉄は金のまがい物として知られている物質です。
ハンニバル・レクターは偽の情報を上院議員に伝えていたのでした。
訪れたクラリスにハンニバル・レクターは物事の本質を見るようにアドバイスします。
バッファロー・ビルがしていることの本質は、女性を殺すことではありません。
目的のために連続殺人を続けていて、殺人は欲しいものを得るための手段にすぎません。
バッファロー・ビルはなんのために殺人を犯しているのでしょうか。
ハンニバル・レクターとクラリスの質問ごっこは続いています。
クラリスは十歳で牧場に身を寄せたときのことを再び話しました。
たった二か月で牧場から逃げ出した原因は、早朝、牧場主が子羊を屠殺している現場を見てしまったからでした。
それを生業としているのだから、牧場主はまともな男です。
けれど、幼心のクラリスには耐え難いものでした。
子羊を一匹抱えて逃げたクラリスに牧場主の男は怒り、クラリスは施設へと送られてしまったのでした。
クラリスは個人的なことを話しましたが、ハンニバル・レクターは結局バッファロー・ビルの本名を教えてくれません。
そこにドクター・チルトンが舞い戻り、クラリスは強制的に帰らされてしまいます。
去り際に、ハンニバル・レクターはバッファロー・ビルの資料をクラリスに返還しました。
その時ハンニバル・レクターとクラリスの人差し指が触れます。これが二人の最初で最後の接触でした。
クラリスが帰った後、二度目の夕食を所望するハンニバル・レクター。
作法通りに手錠をかけたあと、二人の警官が牢屋の中に夕食のトレイを持ち込みましたが、ハンニバル・レクターはドクター・チルトンが忘れていったボールペンの一部を使って手錠を開錠してしまいました。
哀れ二人の警官はハンニバル・レクターに顔を噛みつかれ、警棒で殴られてしまいます。
しばらくの間、ハンニバル・レクターは流れるクラシックに身を任せていましたが、虫の息の警察官に気づき、とどめを刺しに行きました。
階下の警察官が五階での異常に気付きま、突入すると、そこには開腹されて牢屋の前で磔にされている同僚の姿がありました。
ハンニバル・レクターの凶行です。
そして床にはもう一人の同僚が倒れていて、すぐに救急隊が駆けつけ、瀕死の同僚は搬送されます。
エレベーターの屋根から血が垂れているのが見つかり、そこから現れたのは顔の皮を剥がれた本当の同僚の遺体でした。
警察官から顔を剥がしてそれを被り、まんまと救急車に乗って脱獄を果たしたハンニバル・レクターは、救急隊員を殺して救急車を乗っ取っていました。
そのままメンフィス空港へ向かい、乗客の衣服と金を奪って、国外へと逃亡してしまったのでした。
バッファロー・ビルの目的
その知らせはすぐにクラリスの元に届きますが、クラリスは危ない橋を渡ってハンニバル・レクターが自分に会いに来ることはないと、半ば確信しています。
そして、ルーム・メイトとともに、再びバッファロー・ビルから渡された資料を洗いなおします。
そして地図に書かれたハンニバル・レクターからのメッセージをもとに、クラリスは最初に殺された女性がバッファロー・ビルの友人だったのだと気づきました。
オハイオ州ベルベディアへと捜査へ向かうクラリス。
最初の被害者の生家を訪ね、彼女の作りかけの作品からバッファロー・ビルが第五の被害者から剥ぎ取った大きなダイヤ型の皮膚は、衣服を作る際のダーツであったのだと感づきます。
すぐさまクラリスは上官クロフォードへと連絡をします。
クロフォードは既にバッファロー・ビルの居場所を突き止め、シカゴへと飛んでいました。
医療センターの検査記録や税関で毛虫を持ちこもうとした記録から、ジェーミー・ガムという男が引っかかったのです。
クロフォードはクラリスに感謝しますが、クラリスの努力は無駄骨だったのでした。
そのころ、バッファロー・ビルのアジトでは、囚われのキャサリンがなんとか飼い犬のプードルであるプレシャスを井戸の底に落とそうと罠を仕掛けていました。
クラリスはその後も最初の被害者の友人女性に会い、男友達について聞き込みをします。
裁縫の仕事をしていたという情報を得、そしてクラリスは雇い主であるリップマン夫人を訪ねることにしたのでした。
同時刻、クロフォードの突入作戦が敢行されています。
そして、キャサリンはプレシャスを井戸の中に誘い落し、人質にすることに成功していました。
犬を人質に取られ、逆上したバッファロー・ビルはとうとう銃を取り出しました。
そこにインターフォンがけたたましく鳴り響き、クロフォードが突入した屋敷はもぬけの殻です。
クラリスが話を聞きに行ったリップマン夫人の家こそがバッファロー・ビルのアジトだったのです。
ジャック・ゴードンと名乗ったバッファロー・ビルは、話を聞きに来たクラリスを家に入れ、リップマン夫人の息子が事情を知っていると名刺を探します。
リップマン夫人の死後、二年前に家を買ったと発言する犯人。
現れた蛾に、目の前の男が犯人であることを確信したクラリスは、銃を抜きました。
逃亡する犯人を、クラリスはやたらと多い扉を一つ一つ開けて奥へと進んで追いかけます。
地下にも広大な空間があり、クラリスはキャサリンが囚われているのを発見しました。
浴室と思しき場所には、腐敗した白髪の女性の遺体がバスタブに沈められています。
それを発見した途端、部屋の明かりが落とされ、室内は暗闇に。
暗視ゴーグルをつけた犯人が、意図的に暗闇を作り出したのでした。
闇の中、クラリスは怯え惑います。それを犯人はじっと見つめ、暗視ゴーグルで近づきます。
銃を構え、撃鉄を起こしたところで、クラリスは背後を振り返り、引き金を引きました。
犯人の放った一発はクラリスの頬を掠め、クラリスの放った何発もの銃弾は犯人の右胸を見事打ち抜いていました。
クロフォード率いるFBIが現れ、ようやく事件は解決したのです。
事件は解決したものの
クラリスはこの事件の解決を持って、正式にFBI捜査官に就任することができました。
盛大なお祝いパーティーが開かれて、そこに上官クロフォードも現れました。
クラリスとクロフォードは握手を交わしましたが、クロフォードは去り際、電話に出るようにと言い残していきます。
クラリスが電話に出ると、それはまんまとテネシー州の裁判所から逃げおおせたハンニバル・レクターでした。
ハンニバル・レクターはクラリスに祝辞を述べたあと、ドクター・チルトンを殺害することを匂わせて街へと去っていきます。
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映画「羊たちの沈黙」を見た感想考察と評価まとめ
「羊たちの沈黙」は、猟奇殺人犯ハンニバル・レクターとFBI訓練生クラリスの出会いの物語であり、猟奇殺人の解決を巡って二人が心理的な攻防を繰り広げるミステリー・サスペンスです。
とにかく事件が猟奇的!
この作品には、二人の猟奇殺人犯が登場します。
言わずもがなバッファロー・ビルことジャック・ゴードンと、ハンニバル・レクターです。
バッファロー・ビルの女性を殺害し、その生皮を剥ぎ取るという連続殺人だけでも十分、主役を張れる猟奇事件なのに、その上、ハンニバル・レクターが騒動を起こします。
猟奇殺人事件の上から、警察官の腹を開けて磔にしたり、顔の皮を剥いで逃亡したりするって、ほんと追い猟奇殺人です。
猟奇殺人を題材にした映画はそれこそ古今東西ありますが、猟奇殺人の上に猟奇殺人を被せてくる映画もなかなかないのでは?
実はこの作品にはもう一人、殺人を犯すキャラクターがいます。
最後の最後で、バッファロー・ビルを射殺し、見事手柄を挙げたクラリスですね。
クラリスを人を殺した人間の仲間にすると怒られそうな気がしますが、先の二人の猟奇殺人とクラリスの銃殺を比べると、どれだけ先の殺人が異常か知らされる気がします。
なんて思っていると、羊たちの沈黙でびっくりするような展開が待っているのですが。
評価まとめ
ミステリー・サスペンスの金字塔とも言える「羊たちの沈黙」。
二時間足らずの映画ですが、最後の最後まで中だるみせず、ハラハラドキドキできること間違いなしの映画です。
真夜中に一人で鑑賞し、凄惨なシーンにごくりと生唾を飲み込むのも一興です。
映画につきもののセクシー・シーンも本作は、比較的抑えめに感じます。
気心の知れた友人と肩を寄せ合って観るというのも楽しいでしょうね。
観た後に、あのシーンが怖かったこのシーンが気持ち悪かったと、お喋りするのも楽しいものです。
ぜひ、「羊たちの沈黙」をご覧になってはいかがでしょうか。
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