「ユージュアル サスペクツ(The Usual Suspects)」は、1995年にアメリカで公開されたクライム・サスペンス映画です。

伏線と嘘が巧妙に張り巡らされたストーリー展開で、観る人すべてを魅了していきます。そして、ラストには、観た人すべてを欺くかのような大どんでん返しが…。

未だに「ミステリーの名作」として人気が高い今作のあらすじやネタバレ、話の中で張り巡らされた伏線などを紹介したいと思います。

映画「ユージュアル サスペクツ」の作品情報

【公開日】
1996年4月13日(日本)

【上映時間】
106分

【監督】
ブライアン・シンガー

【脚本】
クリストファー・マッカリー

【出演者】
ディーン・キートン:ガブリエル・バーン
ヴァーバル・キント:ケヴィン・スペイシー
マイケル・マクマナス:スティーブン・ボールドウィン
トッド・ホックニー:ケヴィン・ポラック
フレッド・フェンスター:ベネチオ・デル・トロ
デヴィット・クイヤン:チャズ・パルミンテリ
コバヤシ:ピート・ポスルスウェイト

【受賞歴】
1995年 第49回 英国アカデミー賞 作品賞
1995年 第68回 アカデミー賞 助演男優賞
1995年 第68回 アカデミー賞 脚本賞

【作品概要】
カリフォルニアで密輸船爆破事件が発生し、大量のコカインと9100万ドルもの大金が消えた。

この爆破事件の生存者であるヴァーバル・キントは、何を語るのか?また、この事件の裏で暗躍をする黒幕は、誰なのか…。

映画「ユージュアル サスペクツ」のあらすじとネタバレ

アメリカ カルフォルニ州サンペドロ。

ある夜、港に停泊をしていた麻薬密輸船が、爆発炎上する事故が起きた。

対立する組織による抗争事件だと思われたこの爆発事故では、27名もの人が命を落とし、また、9100万ドルもの現金が行方知れずとなりました。

そんな、爆発事件に巻き込まれながら生き延びた生存者が2人いました。

一人は、全身にやけどを負ったハンガリー人の「アーコッシュ・コバッシュ」。そして、もう一人は、一切傷を負っていない障害者の「ヴァーバル・キント」。

この事件を担当していたクイヤン捜査官は、早速、無傷のヴァーバル・キントを呼び出して、尋問をする。

事件の発端は6週間前のニューヨーク

尋問を受けたキントは、「事件の発端は、6週間前にニューヨークで起こった、銃を積んだトラックのハイジャック」からだと、事件のあらましを語り始めた。

そして、ニューヨークで起こったこのハイジャック事件の容疑者として名前が挙がったのが、「ユージュアル・サスペクツ(=容疑者の常連)」と言われている次の5人でした。

・マイケル・マクマナス…忍び込むのプロ。怒ると怖いけど、良い奴。
・フレッド・フェンスター…見た目はチャラいが、頭は切れる。常にマクマナスと組んで仕事をしている。
・トッド・ホックニー…爆薬を扱わせたらピカ一。自己中心的な性格。
・ディーン・キートン…汚職で退職した元刑事。現在は、レストランを経営している。
・ヴァーバル・キント…「おしゃべりキント」と呼ばれている詐欺師。

面通しが終わり、拘置所で一堂に会する5人。

そこで、マクマナスが、「面白い話がある。」と、一緒に仕事をする事を提案する。

その仕事とは、南米の運び屋が密輸するエメラルドを強奪するという仕事で、殺しをしないでスマートに奪い去るには、最低5人必要との事。

最初は、誘いを断ったキートンですが、堅気として今後生きていくことは難しいと悟り、嫌々ながらマクマナスの誘いに乗り、仕事を手伝う。

拘置所で出会った5人での初仕事

ニューヨークでは、汚職警官が光裕郷社からお金を受け取りパトカーで護衛をつくという「特別なタクシーサービス」と呼ばれる不正が頻繁に行われていた。

今回の密輸でもパトカーが密輸業者を護衛についていたが、キートンたち5人は見事な連携で、相手を傷つける事無くエメラルドを奪い去る。また、キートンの機転のおかげで、50人以上の汚職警官が芋づる式に検挙され、一掃された。

そして、密輸業者から強奪したエメラルドを、ロサンゼルスにいる宝石仲介業を営むレッドフットという男に渡した。

レッドフットから新しい仕事の依頼

一人の死傷者を出すことなくスマートにエメラルドを奪い取ったキートンたち5人に対して、今度はレッドフットから仕事を依頼される。

今度の仕事は、ロサンゼルスに滞在しているテキサスの宝石屋を襲い、盗んだ宝石と現金を山分けにしようと言う内容でした。

この仕事の依頼を受けた5人は、ホテルの駐車場で、テキサスの宝石商を襲うが、相手の反撃にあってしまう。そこで、やむを得ず、マクマナスが相手のボディーガードを、そして、キントが宝石商を銃で殺してしまう。

しかも、強奪したアタッシュケースを開けてみると、中身は現金や宝石ではなく、ヘロインだった。

想定をしていなかった事態に陥ったキートンら5人は、レッドフットを問い詰め、この話をレッドフットに持ち掛けた黒幕が、「コバヤシと名乗るイギリス人弁護士」だと聞き出す。

そして、今回の話のバックにいた"コバヤシ"と直接会わせるように手配させた。

謎の弁護士コバヤシと対面

待ち合わせ場所でキートンら5人が待っていると、弁護士のコバヤシが現れる。

実は、このコバヤシと名乗る男性は、闇社会の大物「カイザー・ソゼ」の側近中の側近だったのだ。

このカイザー・ソゼは闇社会では、誰もが名前をしっている伝説の人物なのですが、誰も会った事が無い謎だらけの人物なのです。

当然、キートンやマクマナスはカイザー・ソゼの名前を知っており、余りにも危険なヤマに手を出したと顔色を曇らす。

しかも、キートンら5人は、知らぬ間にカイザー・ソゼの取引の邪魔をしていて、ニューヨークでの5人の出会いは、カイザー・ソゼが仕組んだものだったのです。

すべてカイザー・ソゼの手の平で踊らされていたと知り凍り付く5人に対し、弁護士のコバヤシは、「カイザー・ソゼ氏の仕事の邪魔をした借りを返して欲しい。」と告げる。

そんなカイザー・ソゼからの仕事の依頼内容は、「3日後に行われるソゼと対立しているアルゼンチン組織のコカイン取引を邪魔をし、船ごと燃やせ。」と、言うものでした。
そして、コバヤシは、ソゼ氏からの贈り物だと言って、取引が行われる麻薬密輸船の見取り図が入ったアタッシュケースを置き去っていきました。

カイザー・ソゼの仕事を受けるか悩む5人

カイザー・ソゼが本当に存在するかどうかわからない事もあり、この仕事を依頼を受けるかどうか悩むキートンたち5人。

フェンスターは、カイザー・ソゼはいないと踏んで、翌朝に逃げ出すが、海辺で死体として発見される。

キートン達は、「カイザー・ソゼの正体は、コバヤシなのではないか!?」と考え、コバヤシのオフィスに奇襲をかける。

コバヤシのボディーガードを殺し、作戦は成功したに思えたキートン達。

しかし、コバヤシは、キートン達が襲ってくると予想をして、キートンの恋人のイディを人質にとっていた。また、他のメンバーも同様に、近しい人が人質に取られており、キートン達4人は、カイザー・ソゼの仕事から逃れられないと悟った。

密輸船襲撃当日

コカインの取引が行われる当日、キートン達4人は、それぞれの持ち場について、準備を進めていました。キートンは、「生き残ったら、金を持って逃げろ。そして、イディにすべての話せ。」と、一緒にいたキントに話す。

そして、いよいよ作戦の結構開始。

ホッケニーが船に設置した時限爆弾の爆発を合図に、船に乗り込んだキートンとマクマナスは、手当たり次第に敵を殺していく。一方、金を持って逃げろとキートンに言われたキントは、船の外で隠れている。

ホッケニーは銃で撃たれて犠牲になったものの、敵をほぼ全滅して、作戦が成功したかに思えたキートンたちですが、肝心のコカインはありません。

キートンやマクマナスが困惑をしている最中、船の中で、「カイザー・ソゼが現れた。」と騒ぎが起こる。

そんな中、マクマナスは、後方から喉を切られて亡くなってしまいました。また、カイザー・ソザと思われる背広の男は、船の甲板でキートンも銃殺する。

そして、背広を着た男は、船に火を放って逃げ去った…。

一方、キントは物陰に隠れて、キートンが殺される様子を一部始終を見ていたのであった…。

闇社会の大物カイザー・ソザの正体とは?

キントの話を聞いたクイヤン捜査官は、キートンを助けたかったキントを責め立てる。しかし、キントは、マヒをした左手を見せながら、悪魔のようなソゼが怖かったと告白をする。

そんな中、爆発をした船には、薬物が無く、また、ソゼの正体を知っている密告者"アルトゥーロ"がいた事が判明する。また、キートンの恋人"イディ"が、ホテルで殺された事が判明をする。

これらの状況証拠や、以前、キートンが自分の死を偽装した事、キントはキートンの死体を実際に見ていない事から、クイヤン捜査官は、死んだと思われているキートンこそが、カイザー・ソゼだと言う結論に達する。

そして、キートンの目的は、コカインと船を燃やして取引を邪魔するのではなく、カイザー・ソゼの正体を知っている密告者の"アルトゥーロ"を殺して、再び闇に消える事だと確信をしました。

そして、クイヤン捜査官は、キートンが狙うのは、カイザー・ソゼの正体を唯一知っているキントだと思い警察の保護を受ける事を提案する。

しかし、キントは、クイヤン捜査官の提案を拒否し、警察署から出ていく。

衝撃のラスト

キントが警察署から出て行ったあと、もう一度、今回の事件の事や自分の推理を考え直してみるクイヤン捜査官。

クイヤン捜査官がふと壁に目を移してみると、様々な新聞の切り抜きがあり、「イリノイ州のカルテット」「レッドフット」「グアテマラ」など、キントが話していた単語がある事に気づきます。

そして、極めつけは、「コバヤシ」と言う名前。

なんと、クイヤン捜査官が飲んでいたコーヒーのマグカップの裏側には、「コバヤシ陶器」と描かれていたのです。

クイヤン捜査官は、キートンがカイザー・ソザと言う推理は間違いで、本当のカイザー・ソザの正体は、今まで目の前にいたキントだと気付き、慌てて、追いかけていきます。

しかし、キントは、コバヤシと名乗っていた男が運転していたクルマに乗りこみ、街へと消えていったのでした。

映画「ユージュアル サスペクツ」の感想と伏線考察

1995年に公開された「ユージュアル サスペクツ(The Usual Suspects)」は、ブライアン・シンガーが監督を務めたサスペンス映画です。

上映時間は、106分と映画としては若干長めなのですが、中だるみ感もなく、また、「カイザー・ソゼって誰だ!?」と、観客を釘つけにする展開で、時間が経つのが短く感じます。

そして、この作品の最大のハイライトは、ラストのシーン。

ケヴィン・スペイシー演じるヴァーバル・キントの引きずっていた足が、普通の歩き方に戻し、タバコを加えて、コバヤシが運転する車の助手席に乗り込み爽快に去っていくシーンは、気弱な障害者キントではなく、伝説と化した闇社会の大物カイザー・ソゼそのものです。

キント…否、カイザー・ソゼを乗せた車が町中に消えた後は、煙に巻かれたような、裏切られたような気持ちになるのですが、その一方、あまりの完璧な欺き方にどこか清々しさを感じました。

もう一度「ユージュアル サスペクツ」を見たくなる伏線の数々

ラストの場面、観客全員の度肝を抜いたヴァーバル・キント=カイザー・ソゼですが、実は作品の様々なシーンに伏線が張り巡らされていました。

その一つが、クライン捜査官がコーヒーを飲んでいるシーン。

キントがクライン捜査官のマグカップを下からのぞき込むシーンがあるのですが、特段珍しいシーンでもないにも関わらず、意味ありげにキントの目線をアップします。

また、クライン捜査官が尋問中、ヴァーバルの胸ぐらを掴むシーンがあるのですが、このシーンでは、マヒで動くはずのない左腕でクライン捜査官を払いのけます。(キントが左腕を使ったのは、故意かどうかはわかりませんが…。)

それどころか、この「ユージュアル サスペクツ」の冒頭は、カイザー・ソゼがキートンを銃殺するシーンで始まるのですが、改めてこのソゼの声を聞いてみると、キートンに話し掛ける声は、キントそのものです。

また、キートンが死ぬ間際、カイザー・ソゼに向かって、「足の感覚がないよ」と言っているのも、伏線の一つです。

このようにこの「ユージュアル サスペクツ(The Usual Suspects)」は、幾重にも伏線を張り巡らしているため、映画をすべて見終わった後、「このシーンって実は、伏線だったかも!?」と思いだし、再びこの作品が見たくなります。

逆に明らかにミスリードをしようとしている場面もありますが…。

ここら辺が、「ユージュアル サスペクツ(The Usual Suspects)」は、映画史に残る名作と言われている所以なのかなと思いました。

もう一度見ると、大きく変わるキントの人物評価

また、「ユージュアル サスペクツ(The Usual Suspects)」をもう一度見返すと、キントに対するイメージが大きく変わります。

初めて映画を見た時のヴァーバル・キントは、障害を持つ気弱な詐欺師と言ったイメージで、キートン達5人の中で一番の小物感が漂っていました。

しかし、一度、この作品を見ると、キントは、クライン捜査官にキントが事件のあらましを話す際、警察署内の壁に貼ってあった「グアテマラ」「レッドフット」「コバヤシ」などの言葉を上手に盛り込んで、事実を脚色した事が分かります。いや…、むしろ全部が嘘なのかもしれません。

パッと目にした言葉を使って、ストーリーを作りあげ、しかも、警察官を騙し通すなんて、並大抵の詐欺師ではできません。作品内で「詐欺師」と紹介されていますが、一言で言ってしまえば、天才詐欺師です。

このように一度この作品を見た後で、もうキントの言動や表現、動きなどに注目してもう一度見直すと、ヴァーバル・キントのキャラクターのイメージが大きく変わるかもしれません。

まとめ

まさかと思う大どんでん返しがラストに待っている「ユージュアル サスペクツ(The Usual Suspects)」。

伏線の張り巡らせ方やキント=カイザー・ソゼにたどり着くのを妨げるミスリード、そして、ラストの爽快感など、この作品には、ミステリーの良さが詰まっています。

また、徐々に引き込まれているストーリ展開や没入感など、ミステリーやサスペンス作品があまり得意では無い方でも、十分に楽しめる作品になっています。

今見ても全く色あせない名作ミステリー「ユージュアル サスペクツ(The Usual Suspects)」を心ゆくまで堪能してみては、いかがでしょうか?

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